日本の富裕層に支持されてきた総合婦人誌で、約25年にわたり美容とメディカルを担当してきた鹿田真希さん。美容医療が世の中に浸透する前から最先端の現場で取材をし続けてきたすご腕編集者です。鹿田さんとお届けする連載第2弾のテーマは「歯」。機能、審美、健康の観点から、羽生祥子日経xwoman総編集長がインタビューします。

(1)40代で増える歯周病 放置すると顔が老けるって本当?
(2)40代後半からの歯科矯正はあり? 失敗しない歯科医選び
(3)大病を防ぐにはまず口から 大人のオーラルケアの始め方 ←今回はココ

絶対削ってはいけない虫歯って? 劇的に変化している歯科医療の常識

鹿田真希さん(以下、敬称略) 近年、治療の常識がずいぶん変わってきました。歯はなるべく削らないほうがいいことは分かりましたが、神経を抜く、抜かないに関してはどうですか。

歯科医師・木津康博さん(以下、敬称略) 虫歯の治療で、注意しなければならないことがあります。口の中の虫歯をじっくり見ると、黒い色をしています。しかし、黒い部分が全て虫歯ではないのです。虫歯の中で、軟らかくてザクザク削れる進行中の部分は必ず除去しないといけません。なぜなら、虫歯菌が感染して歯を腐らせている箇所だからです。一方、進行中の虫歯の下に硬い組織が存在していて、黒い色をしている場合もあります。それは、硬化象牙質といって、虫歯の下が石灰化して、細菌の侵入を阻止し、虫歯の進行を止めている重要な硬い組織なのです。その部分が黒く見える場合も、それは着色が原因であって、虫歯ではないのです。つまり、前者は削っていいけれど、後者は絶対に削ってはダメなのです。また、軽度の虫歯であれば、清掃して、薬をつけることにより再石灰化して治る場合もあります。虫歯だけを除去して、余計なところまで削らないように丁寧に治療してくれる歯科医が良いです。

 逆に「真ん中の歯が抜けていますから、隣の歯を削って、痛くならないように神経抜いておきます」などと、簡単に言い出す歯科医は典型的なダメ医者です。虫歯が進行してしまって神経まで達している場合などに、神経を抜くのは仕方のないことです。しかし後でまた痛くなるからと予防のためだけに神経を抜くのは、5年先10年先のダメージを考えたら慎重にならなくてはなりません。

鹿田 虫歯になったら削って、悪化したらまた来てくださいと言うだけの歯医者はダメということですね。やはり、治療計画書を作ってコストの兼ね合いを見ながら優先順位を相談できて、治療方針の選択肢をたくさん提案してくれる、かかりつけの先生を持つのが安心ですね。

「なるほど~」と深くうなずきつつ、「かかりつけの先生を持つのが安心ですね」と鹿田さん
「なるほど~」と深くうなずきつつ、「かかりつけの先生を持つのが安心ですね」と鹿田さん

木津 それもなるべく歯を削らずに、予防中心でやってくれる先生だと、なおいいですね。でも矛盾があって、日本の健康保険制度は疾病型なので、キュア(治療)は保険が利きますが、ケア(予防)の多くは保険が利きません。

羽生祥子日経xwoman総編集長(以下、羽生) 医師の診断や治療法が信じられず、他のクリニックに行きたくなったらどうすればいいですか?