日本の富裕層に支持されてきた総合婦人誌で、約25年にわたり美容とメディカルを担当してきた鹿田真希さん。美容医療が世の中に浸透する前から最先端の現場で取材を続けてきた、すご腕編集者です。鹿田さんとお届けする連載第2弾のテーマは「歯」。第2回は大人の歯科矯正とインプラント、そして間違いのない医師の選び方について、日経xwoman総編集長の羽生祥子がインタビューします。

(1)40代で増える歯周病 放置すると顔も老けるって本当?
(2)40代からの歯科矯正はあり? 失敗しない歯科医選び ←今回はココ
(3)大病を防ぐにはまず口から 大人のオーラルケアの始め方

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40代で増える歯周病 放置すると顔も老けるって本当?


日経xwoman総編集長・羽生祥子(以下、羽生) 早速ですが、先回話題に出た「大人の歯科矯正」について聞かせてください。いま中学生の娘が矯正をしているんですが、一緒に歯医者に行ったら「大人の歯科矯正」の案内をもらいました。娘世代は英語塾に通うのと同じくらいの感覚で歯科矯正していますが、矯正の適齢期はあるのですか。

木津康博さん(以下、敬称略) 昔は大人の矯正は歯に無理な負担がかかるため、よろしくないとされてきました。例外はありますが、小学校高学年から中学生の矯正がほとんどでした。ところが近年のめざましい矯正技術の進歩によって歯にダメージのない、大人の矯正ができるようになってきました。

鹿田真希さん(以下、敬称略) アメリカのエグゼクティブにとって美しい歯は必須条件。ブラケットと呼ばれるワイヤーを付けていることでさえ、ひとつのステイタスだったりします。セレブの間ではカラフルな装飾を施したり、ジュエリーが埋め込まれたりしているタイプを楽しむくらいポピュラーな習慣。若い時から、成功とビューティーはセットなんです。

最短3カ月、費用の平均は50万円で理想的な歯並びが実現?

木津 最近、そうした意識が日本にも浸透し始め、矯正を始める人が増えています。自分で稼いだお金で歯に自己投資をという人や、管理職をはじめ人前に立つ立場の方が、ある程度歯並びの美しさを気にするようになって来院、というパターンが多いです。

羽生 大人の矯正でも、銀色のワイヤーを付けるのですか。

右がオーソドックスな矯正ワイヤー。左がマウスピース型のアライナー。写真は見本なのでズレているが、透明でぴったりフィットするので矯正していると気づかれることも少ないそう
右がオーソドックスな矯正ワイヤー。左がマウスピース型のアライナー。写真は見本なのでズレているが、透明でぴったりフィットするので矯正していると気づかれることも少ないそう

木津 現在は昔ながらのオーソドックスなものから、裏側にセットする見えない矯正までバリエーションが豊富です。白や透明のワイヤーもあります。大人の矯正に向いているのは目立たない内側の矯正。最近はマウスピース型の矯正が人気です。一人ひとりの歯並びに合わせてカスタマイズされた、アライナーとよばれるマウスピースを1週間あるいは10日おきに付け変えてもらいます。

羽生 そうなると、新しい型を交換するために1週間おきに通わないとダメですか? 忙しいARIA世代にはちょっと……。

木津 矯正用のマウスピース数種類を一度にお渡ししますから、頻繁に通院しなくても大丈夫です。最初に歯列の写真撮影(スキャニング)を行い、3D治療計画ソフトで歯並びの変化をコンピューターの画面上で診査します。期間や費用の相談をしながら、治療方法を決め、理想の歯並びのデータを転写します。マウスピース矯正は、通常の型どりはせず、歯列のスキャニングで済むため、とても楽です。スキャニングしてすぐに画面上で歯列がどのように変化するかを診断でき、マウスピース型の矯正が適さない人かどうかはこの段階である程度わかります。

 判断が難しいのは奥歯ですが、小臼歯までの矯正なら最短3カ月、費用の平均は50万円位で理想的な歯並びが実現可能です。1日20時間程度装着してもらう必要がありますが、一般的な矯正に比べ、簡単で安価なのでとても人気があります。もちろん奥歯を動かす難しいケースでは、ワイヤーを使う一般的な矯正をオススメすることもありますが……。

「コンピューター上でシミュレーションして、矯正用のマウスピースを数種類一度にお渡ししますから、頻繁に通院しなくても大丈夫です」
「コンピューター上でシミュレーションして、矯正用のマウスピースを数種類一度にお渡ししますから、頻繁に通院しなくても大丈夫です」

羽生 最短3カ月で、50万円。美容投資の年間計画を立てるとして、半期で一気に歯並びを治す美容計画は十分に考えられますね。ちなみに一般的な矯正の場合、費用はどのくらいかかるのですか?

今週の濃縮レッスン 40代後半からの歯科矯正はアリ?値段や治療法を比較