日本の富裕層に支持されている総合婦人誌で、約25年にわたり美容とメディカルを担当してきた鹿田真希さん。美容医療が世の中に浸透する前から最先端の現場で取材をし続けてきたすご腕編集者です。鹿田さんとお届けする連載第3弾のテーマは「髪」。産後の抜け毛にはじまり、白髪、薄毛など気になる毛問題。案外知られていない育毛と発毛の違い、最新の治療法、セルフケアの落とし穴まで。日経xwoman総編集長の羽生祥子がインタビューします。

(1)40代からの薄毛 育毛剤と発毛剤の違いを理解してる?
(2)女性頭皮専門外来へ初訪問 どんな治療法を提案される?
(3)薄毛のセルフケアの落とし穴 自己流がダメージになる? ←今回はココ

とにかくブラシを清潔に。週に1回はブラシを洗って

羽生祥子日経xwoman総編集長(以下、羽生) よかれと思っている髪のセルフケアのうち、先生から見て「これはアウト!」というものがあれば教えてください。

浜中聡子さん(以下、敬称略) まず、自然乾燥です。これはいけません。すぐに乾かしてください。ごくまれに、シャンプーの後、タオルをぐるぐる巻きにしてしばらく蒸らすことが髪によいと思っている人がいますが、臭いや頭皮トラブルの原因となる細菌が繁殖しやすいのでよくありません

鹿田真希さん(以下、敬称略) 私たちの世代は朝シャンが流行したのですが、実際シャンプーするなら朝と夜、本当はどちらがいいんですか?

浜中 1日の汚れをその日のうちに落とせる夜の洗髪が理想的です。でも朝シャンプーして髪にボリュームを出さないと落ち着かないという人もいるでしょう。頭皮トラブルがなければ、どちらでもそれほど問題ないです。あまり理想論ばかり述べても現実的ではないですから。

羽生 ドライヤーで乾かす時のポイントはありますか?

浜中 頭皮からある程度、ドライヤーを離して動かしながら、乾かすことです。毛先よりもまず頭皮や髪の根元を乾かすと心得てください。

羽生 先生がお薦めする美容器具やグッズがあれば知りたいです。

浜中 これといって愛用しているグッズはないですが、とにかく皆さんにお伝えしたいことは「ブラシは清潔に!」ということ。頭皮の汚れがブラシに付着していますから。

羽生 ブラシはどのくらいの頻度で洗えばいいですか?

浜中 週1回の頻度で洗うことが望ましいです。私の場合、洗っても丈夫で長持ちするというブラシを使い続けています。ゴム製なので洗いやすく、重宝しています。

鹿田 先生、マッサージはどうですか?

浜中 マッサージに熱心な方は血行をよくして育毛促進したいのだと思いますが、小一時間マッサージで凝りをほぐしてもらい気持ちよくなっても、その状態が恒常的に続くかといえばなかなかそうはいきません。マッサージは治療に準じた効果を期待するのではなく、むしろ頭皮ケアやリラクゼーションの範疇(はんちゅう)と考えてください。熱心にマッサージしすぎて、かえって刺激が強すぎた部分が薄くなる人もおられます。何をおいてもまず、栄養バランス、睡眠、清潔を保つことに気を使ったほうが髪にはよいのです。

羽生 美容面でのアドバイスをいただいたところで治療に話を移すと、最近はがん治療をしながら、こちらに通院される人も増えているそうですね。

談話中、おでこやこめかみなど、ついつい気になる箇所に手が伸びる
談話中、おでこやこめかみなど、ついつい気になる箇所に手が伸びる
今週の濃縮レッスン(3) 主治医と連携し、がん治療と併せて発毛治療を始める人が増えている