日本の富裕層に支持されている総合婦人誌で、約25年にわたり美容とメディカルを担当してきた鹿田真希さん。美容医療が世の中に浸透する前から最先端の現場で取材をし続けてきたすご腕編集者です。鹿田さんとお届けする連載第3弾のテーマは「髪」。産後の脱け毛にはじまり、白髪、薄毛など気になる毛問題。案外知られていない育毛と発毛の違い、最新の治療法、セルフケアの落とし穴まで。日経xwoman総編集長の羽生祥子がインタビューします。

(1)40代からの薄毛 育毛剤と発毛剤の違いを理解してる?
(2)女性頭皮専門外来へ初訪問 どんな治療法を提案される? ←今回はココ
(3)薄毛のセルフケアの落とし穴 自己流がダメージになる?

毛先や毛量に、人生のスタンスが現れる

羽生祥子・日経xwoman総編集長(以下、羽生) 前回、ケアと治療は違うと聞きました。例えば、市販の育毛剤を使用した場合、効果が出るまでどのくらいかかりますか?

浜中聡子さん(以下、敬称略) まず、患者様に処方している薬の場合で6~7カ月ほどかかります。古い毛が抜けて新しい毛が伸びて生え変わり、自覚できるまでには結構時間がかかるんですね。育毛剤はむしろ、頭皮トラブルを抑えるための「守り」のアイテムぐらいにとらえるといいですね。「何だか生えそうだなあ」と期待して市販の育毛剤を1~2本試してみたものの、なかなか効かないと言って来院される方も少なくないです。

鹿田真希さん(以下、敬称略) 治療で処方されるのはすべて医薬品?

浜中 医薬品を処方します。当院で処方するミノキシジルは2%以上で多段階に分かれています

治療で用いられるミノキシジルの含有量は2%以上。いかに少量で生やしていくかが治療の鍵
治療で用いられるミノキシジルの含有量は2%以上。いかに少量で生やしていくかが治療の鍵

羽生 もし先生自身が治療をするなら、どの濃度から始めますか?

浜中 私なら8%から始めますね。

羽生 いきなり8%! 育毛ケアで時間を費やすよりも、発毛治療が手っ取り早い?

浜中 育毛ケアも大切ですが、効率よく効果を実感したいなら、やはり発毛治療ですね。確かに誰しも躊躇(ちゅうちょ)する期間はあるかと思います。ホームページで調べたり、電話番号を検索したり。でもまずはどんな治療か話だけでも聞きに来て、「こんな感じか」と判断する。暗中模索を続けるよりは早めに行動して、ご自身で判断することをお勧めします。初期段階できちんとベースを持ち上げて、年齢にふさわしい健康的なイメージが保ち続けられれば、自信にもつながるはず。毛量や毛先に、その人の人生のスタンスが案外現れてしまうものですから。後ろ姿の印象にも如実に表れますしね。

羽生 すごい。人生のスタンス!? 

鹿田 特にARIA世代の管理職の場合、上からも下からも、365 度、全方位から見られていますからね。

浜中 管理職ともなれば、多少はお金をかけてきれいにすることも期待されますよね。早速ですが、実際に治療された50代の患者さんのケーススタディーを見ていきましょうか。

今週の濃縮レッスン(2) 意外と知らない!? 円形脱毛症は健康保険内治療