「企画書がうまく書けない」「プレゼンに失敗した」「リモートワーク中のコミュニケーションで、誤解を生んでしまった」…。こんな悩みはすべて、あなたの「文章力」のせいかもしれません。社会人になって、名刺の渡し方などのマナーは教わったけれど、仕事で必要な文章力は自力で育んできたという人も多いはず。でもその文章、正解ですか? これまでに200冊以上の書籍ライティングに関わり、文章のプロによるスキル本を100冊分読み込むなど、文章術を研究しつづけるライターの藤吉豊さんが「社会人たるもの持っておくべき文章力」について解説します。

(1)文章のプロ・藤吉豊 「文章力が高い人は、年収も高い」 ←今回はココ
(2)ビジネス文書に「文才」はいらない デキる人の文章術
(3)メール冒頭の3行で分かる 仕事がデキる人、デキない人

「社員に文章力がなくていい」と思っている経営者はいない

編集部(以下、略) 社会人歴がベテランの域に達しているARIA世代でも「文章を書くこと」に苦手意識がある方は結構いるようなのですが、文章のプロから見てどう感じますか?

藤吉豊さん(以下、藤吉) 僕もそのように感じています。先日ある大手企業から文章術のセミナーの依頼がきて、「社員にリポートを書かせてみても、何を伝えたいのか分からないから指導してほしい」というのです。大手企業で、おそらく高い教育を受けてきただろうという方々でさえ、社会で通用する文章を書くことに苦戦しているようですね。

 また、僕はビジネス書籍の編集協力をすることが多いため、仕事柄、経営者の方々に会う機会が多いんです。お話をうかがうと、経営者のほとんどが「社員に文章力が必要」だと考えていらっしゃいます。経営者は、都度判断しなければいけない責務を数多く抱えているので、社員から正しい報告書が上がってこなければ、正しい判断ができないというのです。

文道 代表取締役 藤吉豊さん「文章のプロによるスキル本を100冊分読み込み、研究しました」
文道 代表取締役 藤吉豊さん「文章のプロによるスキル本を100冊分読み込み、研究しました」

―― 確かに社会人生活では、報告書のほかにプレゼン資料、日報、稟議(りんぎ)書など、文章を書かなければいけない場面にたびたび遭遇しますよね。