生活者視点の気づきが、鋭い視点でSDGsを捉えることも

―― 企業で働く一企業人として、SDGsをどれだけ当事者意識として捉えられるかが重要ですね。飢餓や平和というと、テーマが大きすぎて遠い世界のように感じてしまいがちです。でも、女性だからこその生活者としてのきめ細やかな視点が、問題を引き寄せるのに役立つのではないでしょうか。

 以前、経済誌の記者をしていたときに、サンマの漁獲量が激減したことがあったんです。ある女性記者が生活者目線で「サンマの高騰」から企画を提案しても相手にされなかったのが、漁獲量が商品価格を動かし、関連企業の経営に影響を与えるようになって初めて大きなニュースとして扱ったということがありました。

 でも、そのときの女性記者のように生活感覚からいち早く問題を捉えれば、鋭い指摘ができたり、その後のアクションにあたたかみが生まれたりするのではないか、と感じています。大きなニュースや数字ばかりを追いかけるのではなく、女性のほうが、暮らしの中から社会を変えるヒントを見つけたり、リアルな行動につなげてたりしていけそうです。

社会を変えるヒントは暮らしの中にあふれている、と白熱するふたり
社会を変えるヒントは暮らしの中にあふれている、と白熱するふたり

根本 本当にそうですね。足元の暮らしの中にこそ、SDGsがある。一人の人間として、職業人として、できることを考えてほしいです。例えば、地産地消にこだわる、使い捨てプラスチックを減らす、洋服を捨てない。そんな日々の気遣いがSDGsに貢献します。

 身近なところでは、IUU(Illegal, Unreported and Unregulated)漁業、つまり、「違法・無報告・無規制」の漁業の問題などもあります。IUU漁業は海の環境悪化の大きな要因にもなっていますが、日本で流通している水産物の2~3割がIUU漁業由来とも言われています。

―― 産地偽装も含めて、そういう問題を知っているだけで、スーパーで魚を見る目が違ってきます。

 暮らしの中でのさまざまな気づきを、企業活動にどう反映させていくか。生活者と企業人、個人がその両方をうまくリンクすることで、SDGsを“自分ごと化”しやすくできそうですね。