商品やサービスの価値を売るために必要な手法「マーケティング」。このマーケティングの考え方やスキルを持つことが、全ビジネスパーソンにとって有益だと話すのは、マーケティング・コンサルタントでシストラットコーポレーション代表の森行生さん。マーケターはもちろん、そうではない人たちが「マーケティングの思考」から学べることとは? 全3回で解説します。

(1)優秀な人の思考・行動はマーケティング理論に沿っている ←今回はココ
(2)「あえて時流に乗らない」でビジネスチャンスを増やす
(3)ヒット作の差別化のポイントとブランドの作り方

マーケティングを学ぶと人に好かれる

編集部(以下、略) 「マーケティング思考」という言葉をよく耳にするようになりました。商品開発などのマーケティング部門に携わっていない人でも押さえておくべき教養だという話もありますが、ビジネスパーソンがマーケティングを学ぶことのメリットは何でしょうか?

森行生さん(以下、森) 仕事の面だけでなく、プライベート面でもいくつものメリットがあると、私は思っています。一番のメリットは「人に好かれる」ということ。

 マーケティングというのは要するに、「どうやったら商品を買ってくれるか=お客さんに好きになってもらえるか」の科学なんですよね。名前が知られていてその商品への理解があるだけではモノは売れません。その先の好意まで醸成させるのがマーケティングです。だから、マーケティングの理論を学ぶことで、人から好意を持たれたり味方が増えたりすることが多いんです。

 また、品質が良くなければ、リピートしてもらえないのでロングセラーにはならないというのはマーケティングの基本ですが、人間関係も同じで、人格が優れていたり相手にメリットをもたらす資質なり技術なりがあったりすると長い付き合いが続きやすいですよね。

―― なるほど。社内で味方を得る時にも使えるということですね。

 突然ですが、企画を提案したりプレゼンをしたりするとき社内で味方を得たいと思ったら、現場で何%の賛同を得なければいけないと思いますか?

―― 半数以上は必要じゃないでしょうか。

 マーケティング理論にのっとると、26.1%の賛同を得ればいいんです。