昔に比べ野菜に含まれる栄養素が減っている

 昭和30年代頃までは日本でも肥溜めがある風景が当たり前でした。人間や動物が排泄したもので堆肥を作り、それを利用した土づくりをしていました。ところが、人口が増えて、下水処理の技術が発達した今、そういった土づくりをしている農家さんは稀少です。

 今まで堆肥となって循環していたミネラル分は下水から海に流されるようになり、土壌に含まれるミネラルはどんどん少なくなってしまいました。その結果、野菜に含まれるビタミンやミネラルも減少しているものが多いといわれます。もちろん、品種改良や測定法の違い、通年で栽培されるようになったことなどもあるので、一概に比較することはできません。それでも、土から吸収されるビタミンやミネラルが減っていることは間違いないでしょう。

ミネラルバランスがよい畑の野菜は味が濃い

 どうしたら栄養たっぷりでおいしい野菜ができるのか。単に無農薬にすればよいというわけではなく、その土壌や作物に合わせた土づくりがとても大切です。人間も同じように、単にサプリメントで栄養補給をしただけでは意味がありません。しっかり腸内環境を整えて、栄養素がバランスよく吸収できるようにしなくては本来の健康な体は維持できません。農業も、人間の体も、仕組みは同じなのだと学びました。

 ミネラルバランスの良い土壌で育った野菜は味が濃く、細胞まで元気な感じがします。それ以降は、できるだけ直接農家さんに「どんな土づくりをしていますか」「どういう考え方で野菜を栽培していますか」と聞くようになりました。

 ファーマーズマーケットは試食ができたり、生産者さんと直接話ができたりするので、おいしい野菜を買うよい機会です。今はオンラインで生産者さんから野菜を買えるプラットフォームも増えています。機会があれば、ぜひ一度利用して、野菜の歯ごたえや味の違いを楽しんでみてください。