食べ物で健康な心と体をつくる予防内科医の関由佳さん。医師でありながらNYで栄養と料理を学び、ミシュラン星付きレストランでも働いた異色の経歴の持ち主です。無農薬の野菜作りにも挑戦中の関さんが、美しく健康になる食べ方を、オリジナルレシピとともにご紹介します。今回のテーマは「味噌汁ファスティング」です。

疲れた胃腸を休ませるファスティング

 厳しい暑さもようやく和らぎ、過ごしやすい季節になりました。夏バテが解消されて食欲が増すのと同時に、冬に向けて体はため込みやすくなるのがこの“食欲の秋”。ここで食べ過ぎてしまうと、年末にむけて一気に体重が増加してしまいます。

 そこでおすすめなのが定期的なファスティング(断食)です。ファスティングとは一定期間、固形物を摂取しない食事療法のこと。ダイエット目的で関心を持つ方が多いと思いますが、ドイツなどヨーロッパでは医師の指導のもと、糖尿病や高血圧、アレルギーなどさまざまな慢性疾患の治療にファスティングが取り入れられ、一部は保険治療としても導入されています。

 固形物を取らないファスティングは、消化器官を休めることができ、体内に過剰に蓄積された脂肪や化学物質、重金属なども排泄しやすくなります。また、いつも消化活動に使っているエネルギーが細胞の修復に使われて、自己治癒力が高まるなど、さまざまな効果があると言われています。

代謝に必要なビタミンやミネラルを取ることが大事

 私自身も10年ほど前から定期的にファスティングを取り入れており、にんじんジュースやコールドプレスジュース、酵素ドリンクなどを使ったファスティングを試してきました。ファスティングについて学ぶ中で、代謝や解毒に必要なミネラルやビタミンを摂取しながらファスティングをすることが重要であることが分かりました。

 そこで思いついたのが、「味噌汁ファスティング」です。味噌と野菜だしを組み合わせた具なしの味噌汁を活用すると、必要なビタミンやミネラル、アミノ酸を摂取することができ、空腹感をあまり感じずにファスティングをすることができます。また、ファスティング中に冷えてしまいがちな内臓を温め、さらに腸内環境を改善させる効果も。自宅にあるものをそのまま使えるので、わざわざ専用の酵素ドリンクなどをそろえる必要もなく、手軽に始められるのもメリットの一つです。

具なし味噌汁で必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸がとれる「味噌汁ファスティング」
具なし味噌汁で必要なビタミン、ミネラル、アミノ酸がとれる「味噌汁ファスティング」