ビジネスの転機で背中を押してくれたシンフォニー、大切なライフイベントを彩ったアリア…各界で活躍するクラシック愛好家の方々が、自身にとって忘れられない一曲と共に人生を語ります。今回登場するのは、タレントのふかわりょうさん。近年はMCやコメンテーターなど活躍の幅を広げる一方、「ROCKETMAN」名義で長年音楽活動も続けています。そんなふかわさんの多彩な音楽ルーツの一つがクラシック。子どもの頃、偶然見たテレビ番組で大好きになった一曲とは?

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(下)同じ曲調、同じリズムの人生はつまらない

小学生の頃、偶然見た「名曲アルバム」で…

 小学生の頃、NHKの「名曲アルバム」がすごく好きでした。今も続いている、クラシックの名曲がゆかりの風景と共に紹介される5分間のミニ番組。当時は午後3時50分くらいからやっていたのかな。いつも決まって見るものではないから、たまに遭遇すると「あ、今日もやっている」って、虹を見かけたときのようにうれしくなるんですよね。時々「名曲アルバム選」っていう「3本立て」の15分バージョンもあって、これが見られたときなんてもう歓喜でした。

 「世界の車窓から」とかもそうだし、ミニ番組がそもそも好きなんです。『週刊少年ジャンプ』も後ろのほうに載っている読者投稿コーナーの「ジャンプ放送局」しか読まなかった。細部にばっかり関心を持つタイプでした。

 そんなある日の「名曲アルバム」で出合ったのが、エルガーの「愛のあいさつ」です。作曲家の出身地、英国のいろんな風景がテレビに映し出され、非常に温かなメロディーが流れてきて……もう一気に引き込まれました。この曲はピアノ独奏やピアノとヴァイオリンの二重奏などいろんなバージョンがありますが、そのときは何か弦楽器が入った演奏だったと思います。もともといい曲だなとは思っていましたが、このときに一層愛着が強まりました。エルガーは「威風堂々」のような勇ましい曲も好きなんですけど、「愛のあいさつ」はとりわけ耳に残るキャッチーさもあって、本当に素晴らしい曲だなあと思います。

 子どもの頃からクラシック音楽が好きだったのは、音楽好きの父の影響が大きいです。