英語劇サークルに熱中したことから思わぬ進路が浮上
大学3年くらいまでは通訳や翻訳の仕事を目指していたのですが、結局は断念することにしました。というのも、基本的には初めからフリーランスで活動していく職業で、地方出身の人間にとっては、生活していく上で高い壁だったんです。もちろん、そういうことも踏まえてちゃんと準備をしなかった自分がいけないのですが、サークル活動が楽しくて、ついそちらを熱心に……。でも結果的にそれがアナウンサーを志すことにつながりました。
所属していたのは、シェイクスピアの作品などを上演する英語劇のサークルです。人前が苦手なのになぜ? ですよね。どこかで自分を変えたいと思っていたのかな。英国に留学していたとき、現地でいうところの国語の授業で、先生から「朝の家族の風景」みたいなシチュエーションを与えられて、グループごとに発表をするプレゼンテーションをやったんです。ちょっとした演劇の練習みたいな感じで、これが意外と楽しかった。上智には英語劇のサークルがあると知って、入学前から興味を持っていました。
もともとマスコミは私にとってテレビの向こうの世界で、現実社会とは別物だと思っていました。でも、サークルのOGにアナウンサーになった人がいたり、一緒に活動していた先輩がテレビ東京の報道記者になったりしていて、少しずつ身近な印象に変わっていったんですね。当初の夢を諦めて就職活動をするときに、本気でアナウンサーを目指してみようという気持ちになりました。アナウンス学校に通ったりはしていなかったのですが、演劇で発声練習などをやっていたことが生きました。
就職活動中も日本テレビに合格した後も、私の性格を知っている親からは、やめたほうがいいんじゃないかと心配されました。でも、こうして30年アナウンサーを続けてきて、目の前のことをコツコツやっていくことしかできない私の性格が、意外とこの仕事に合っていたのかもしれないと思っています。
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取材・文/谷口絵美(日経xwoman ARIA) 写真/鈴木愛子
フリーアナウンサー