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人生はいつもクラシック

松本志のぶ 自信のない私をラヴェルのボレロが励ました

(上)将来の夢はあるけれど、人前が苦手で自分に自信が持てなかった10代の頃


コツコツ積み重ねることなら私にもできるかも

 私は小さいときから人前で話すのがものすごく苦手で、授業中も答えが分かっていても絶対に手を挙げないような子でした。でもその一方で、好奇心や、何かに挑戦したい気持ちは持っていました。

 中学生の頃、父親が仕事でお付き合いのある外国の方をよく家にお招きしていたのですが、常に通訳の方が一緒だったんですね。私には、お客様に聞いてみたいことがあっても直接話しかけることなんてできません。でも、通訳の方が代わりに聞いてくれることで、自分の世界がものすごく広がりました。

 「なんてすてきなお仕事、私もやりたい!」。映画が好きで字幕翻訳にも興味があったので、将来は通訳や翻訳の仕事に就きたいと思うようになりました。高校で留学しようと決めたのもそのためです。

 とはいえ、引っ込み思案で何か突出した能力があるわけでもなく、自分に自信は全くありませんでした。私には、目の前にある小さなことを積み重ねていくことしかできないけれど、本当に夢がかなうのかな……。そんなふうに不安を抱えていたときに聴いたボレロは、自分自身がやっていることに重なって聞こえたんです。

 同じことを何回も何回も繰り返していくだけでも、いろんな楽器の音色が加わることで、こんなにも世界が広がって、最後にはあそこまでの盛り上がりにたどり着く。ボレロの音楽のように、懸命にコツコツ積み重ねていくことだったら、私にもできるかもしれない。そんなことを何となく感じたのだと思います。それからすぐにボレロのカセットテープを買って、よく聴いていました。

 ボレロの他にも、私を励ましてくれたものがもう1つがあります。

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