大学で音楽と再会、オーケストラで音楽漬けの日々

 小学校卒業と同時に東京に戻ると、もともと運動が好きだったこともあって中学はテニス部、高校はサッカー部の活動に没頭。6年間ヴァイオリンからは遠ざかっていました。また音楽をやろうかなと思ったのは大学に入ってから。最初に入部したのは男声合唱団だったのですが、部室がオーケストラと共用だったんですね。男ばっかりで歌って4年間過ごすのも何だなあと思って、1年生の途中でオーケストラに入り直しました。このオーケストラには「東京大学音楽部管弦楽団」という立派な名前がついていまして。つまり音楽部に入ったので、この時点で専攻は法学部ではなくなりました(笑)。そこからは音楽好きの仲間たちと、どっぷり音楽ざんまいの日々です。

 ヴァイオリンは小学校でやめていたので、大人用のフルサイズの楽器を買い直し、当時桐朋学園大学のヴァイオリン科の学生だった佐野由美子先生について一から学び直しました。先生はその後結婚して渋谷由美子という名前で、長く仙台フィルハーモニー管弦楽団のコンサートミストレスとして活躍されます。私がレッスンを受けたのは大学時代だけですが、社会人になってからも渋谷先生との交流は続くことになります。

 オーケストラというのはいつも大編成で演奏しているわけではなく、弦楽器の場合、例えばその中のメンバーで弦楽四重奏をやりましょう、なんていうこともあります。弦楽四重奏は、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの4人で構成されます。オーケストラでは第1ヴァイオリンが10人というように、弦楽器はパートごとに複数の人が同じ旋律を演奏しますよね。それによって大きな音のアンサンブルになるわけですが、弦楽四重奏は、コントラバスを除く4つの弦楽器パートのアンサンブルを、最小単位につきつめた形です。

 楽器にはそれぞれ得意分野みたいなものがあって、それが曲の中でうまくはまると、聴いていて「ああ、美しいハーモニーだなあ」と爽やかさを感じます。クラシックはオーケストラの曲も聴きますが、一番好きなのは弦楽四重奏。中でも名曲だと思うのが、ボロディンの弦楽四重奏曲第2番です。