「人手がばらつかない規模」で社員の意識をそろえる

 「食いもの屋とできものは大きくなったらつぶれる」というのは、人手がばらつくからなんです。社員が多くなり過ぎると、適材適所が行き届かなくなる。うちは適性を見て、なおかつ仕事の取り組み方にばらつきが出ない規模を維持しています。

 六花亭のモットーは「仕事も遊びも一生懸命」。1年の3分の1が休みで、残業もありません。有休の取得率も100%です。だから遊び方をちゃんと作っておかないと、休んでもただゴロゴロするだけになっちゃう。うちは管楽器アンサンブルや野球部など、サークル活動も活発です。

 売り上げ目標も出店目標もありませんが、みんなまあ、よく働きますよ。工場の製造ラインの一人ひとりに至るまで、「ぼちぼちやろうか」ではなく「よし!」という意識で仕事に向き合っています。働き手の意識は製品に出ますからね。

 なぜ意欲的な人が集まるかというと、採用試験で適性のある人を採っているからです。均質な人ということではないですよ。サッカーと同じで、ポジションのバランスを考えます。例えば僕なんかはフォワードタイプの明るい人間だけど、工場の仕事は「コツコツと実直に」が求められる、対人能力がなくてもやれるもの。おとなしいタイプのほうがよっぽどものづくりには向いています。昔はだらだらと仕事をするような人もいましたけど、世代交代とともに長い時間をかけて社員の意識をそろえていくことをやって、ようやくここまで来ました。

「売り上げ目標も出店目標もありませんが、社員はみんなよく働きます」
「売り上げ目標も出店目標もありませんが、社員はみんなよく働きます」