逆転の発想で今までにない店舗が誕生

 建物は店舗ではなく、あくまでコンサートホール。それを1年のうち、コンサートがない350日間は店舗に使います。今までは既にある建物の一角でサロンコンサートばかりやっていましたが、これでは限界があるなと思ったので、目的と手段とを入れ替えたんです。

 前例のないプランですから、ホールと店、それぞれの機能的な整合性をどうやって取るかという点では非常に苦労しました。設計士とは途中で大げんかもしましたね。一時は「この話はなかったことにしよう」というところまでいきましたが、最終的には非常に満足のいくものができました。真駒内は札幌の中心部からは離れているのですが、おかげさまで固定客がついてくれて、今でも定期演奏会は大体いっぱいになります。

 真駒内のホールを造って大満足していたら、今度は札幌の駅前に店舗を作ることになりました。これもまた不思議な縁なのですが、ヤマハさんが駅の周辺に音楽教室の生徒さんの発表の場を欲しがっているという情報が飛び込んできたんです。それで交渉していくと、使用料もいただけるとのこと。じゃあ札幌の中心部にも音楽ホールを造ろうということで2015年に完成したのが、札幌本店6階のふきのとうホールです。もしヤマハさんとのマッチングがなかったら、店舗だけの建物になっていたと思います。

「音楽ホールありき」で2002年に誕生した真駒内六花亭ホール店。奥がステージで、商品が陳列されているスペースはコンサート時に120席の椅子が並ぶ。左右の木製ルーバーは旋回するようになっていて、店舗として使う際はルーバーを開いて外光を採り入れ、コンサートの際には閉じて反響板の役目を果たす
「音楽ホールありき」で2002年に誕生した真駒内六花亭ホール店。奥がステージで、商品が陳列されているスペースはコンサート時に120席の椅子が並ぶ。左右の木製ルーバーは旋回するようになっていて、店舗として使う際はルーバーを開いて外光を採り入れ、コンサートの際には閉じて反響板の役目を果たす
2015年に完成した札幌本店6階のふきのとうホール。主催公演とレンタルの利用で、年間約250日稼働している(ホールの写真はいずれも六花亭提供)
2015年に完成した札幌本店6階のふきのとうホール。主催公演とレンタルの利用で、年間約250日稼働している(ホールの写真はいずれも六花亭提供)