予想外の辞令続きで、金沢と長野を行き来する生活に

 広報部長を2年務めた後、NTTデータの地域会社の社長という思ってもみない辞令を受けました。

 広報では大きな予算を組んでイベントをやることで、会社のお金を使うということを勉強しました。「次は何をしたい?」と上司に聞かれたときに、「お金を使うことはできたけど、もうけ方が分からないんですよね」と言ったんです。それでまさか社長とは……。しかも、NTTデータ北陸とNTTデータ信越という2社の兼務。NTTデータ北陸の所在地である金沢市に赴任し、週5日のうち2日はNTTデータ信越がある長野市へ新幹線で通勤する生活をしています。

 女性は男性に比べると自信がない傾向があって、「私にはマネジメントなんてできません」と後輩女性から相談されることがあります。でも、マネジメントって自分が何かをできるかできないかではなく、大切なのは「誰に任せればいいか」ということなんです。私は正直、NTTデータが扱うシステムの中身も、それをどう売ればいいかも、それほど詳しくありません。だから任せるしかないですし、誰に何を聞けば信頼できるかを見極め、仕事を任せながらもサポート役として伴走することがすごく大切だと思っています。

 「任せる」ということについては、自分にとって未知の分野の仕事を人に聞きながらチームで進めた広報部長時代の経験が大きな転機になりました。そしてもっと言うと、転機になった背景には、その前の法務時代に味わった挫折があります。

 ひらめいたら即行動、スピード重視でアグレッシブに突き進む私は、お堅い法務畑ではある意味イレギュラーなタイプだったのですが、その性格が災いして、課長から部長になりたての頃、とても苦い経験をしました。メンバーから総スカンを食らってしまったのです。

「社長の兼務は体力的には大変ですが、一方で直面した課題から学んだことをもう一方でも生かせるなど、プラスの面もいろいろありますね」
「社長の兼務は体力的には大変ですが、一方で直面した課題から学んだことをもう一方でも生かせるなど、プラスの面もいろいろありますね」

――近日公開の(下)に続きます。

取材・文/谷口絵美(日経ARIA編集部) 写真/鈴木愛子

池田佳子
NTTデータ北陸 代表取締役社長
NTTデータ信越 代表取締役社長
池田佳子 いけだ よしこ/1967年生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、NTT入社。主に法務を担当し、99年に米国イリノイ州立大学でLLM(法学修士)取得。2008年にNTTデータへ転籍。コンプライアンス推進部部長、企画部アライアンス推進担当部長、広報部長などを経て、19年6月からNTTデータ北陸代表取締役社長とNTTデータ信越代表取締役社長を兼任。