社員一同、感動のアンコールに浸っていたら…

 NTTデータには、世界50カ国以上の国や地域で働く社員から大切にしている言葉や価値観を集めて歌詞を作った「One Song」という歌があるんですね。多様なバックグラウンドを持つ社員が一つになれる、コミュニケーションツールとして誕生したものです。これを三枝先生にフルオーケストラバージョンに編曲してもらい、コンサートのアンコールで初披露。迫力あるオーケストラ演奏の「One Song」に社員や役員は感動した様子で、私もこみ上げてくるものがありました。

 コンサートには社員が取引のあるお客様や会社としてお世話になっているお客様も招待していて、そうした方々は、この歌をNTTデータという会社が共有している価値観ということで受け止めてくださいました。でも、一般公募のお客様からは、アンコールで唐突に「内輪」の曲を聞かされたことについて、アンケートでお叱りの言葉をいただいたんです。

 「One Song」をお披露目することはプログラムには書いてありましたが、アンコールでやるとはもちろん書いてありません。これだけイタリアづくしのコンサートで、アンコールにいきなり「One Song」で、肩すかしを食らった、というわけです。メセナの一環でもあるご招待のコンサートとはいえ、純粋に音楽を楽しみにいらした方の気持ちもおもんぱかるべきだった。せめて、別のアンコール曲を用意した上で、演奏すればよかったんですよね。

 初めてのことをやるときには、さまざまな視点から検討すべきだということを改めて学んだ、貴重な経験でした。