湘南をベースに多方面で活躍する女性たちに、湘南在住のライターが「身体、精神、社会的により良い状態であること」を指す「Well-beingな生き方」をテーマにインタビューする連載。今回取材したのは、ファッションエディターとして活躍する一方で、オーガニックコットンブランド「nanadecor」を立ち上げ、現在はディレクターとして活動する神田恵実さん。平日の日中は都内で働き、プライベートは葉山で過ごします。今回は、日々暮らすなかでの本質的な豊かさについて聞きました。

(上)仕事に没頭しやすいから、あえて葉山に住むことを選んだ
(下)肌に触れるものが心地よいと全身がリラックス ←今回はココ

「早く帰ってパジャマを着たい」と思う日常

―― 前回、快適な睡眠の追求から趣味でオーガニックコットンのパジャマを作り始め、それがブランドの立ち上げにつながったという話がありました。パジャマを身に着けることで、具体的にどんな変化があったのでしょうか。

神田恵実さん(以下、敬称略) 日ごろからさまざまなストレスにさらされている私たちの身体は、気づかないうちに緊張し、バリアを張った状態となっています。意識的に緩めることを努力しなければ上質な睡眠を得られません。個人差はありますが、肌に触れるものが心地よいと、肌を通して脳に伝わり、全身が緩んできます。さらにそれを習慣にすることで、脳が自然とリラックスできるようになるのです。

 私自身、都内から葉山へ戻る途中、すでに「早く帰ってパジャマを着たい」と考えています(笑)。それくらい私のなかでパジャマ=リラックスという図式が確立しているんです。

―― 食べ物や化粧品などには気を使いますが、肌に触れるものも同じくらい大切なのですね。

神田 普段、私たちが意識している五感のうち、触覚、つまり肌の感覚はあまり重要視されていないように感じますが、実はとても大切な感覚です。一般的に、触覚と嗅覚は本能と感情で判断するとも言われます。ですから、上質で肌に優しい素材で包まれていると、安心感を得られますし、次第に感覚が研ぎ澄まされてきます。

「肌に触れるものが心地よいと、全身が緩んできます。さらにそれを習慣にすることで、脳が自然とリラックスできるようになるのです」
「肌に触れるものが心地よいと、全身が緩んできます。さらにそれを習慣にすることで、脳が自然とリラックスできるようになるのです」