人と人とのつながりのなかで生きる

大橋 葉山にはイタリアで2年間暮らした期間を含めて、足掛け10年くらい住んでいますが、何より自然が近いことが大きな魅力ですよね。また3年前、イタリアに住んだときに感じたのですが、イタリアでは人と人との関係がすごく自然で、心地よいんです。それと同じような心地よさが、ここ葉山にもあるような気がして。

 もちろん東京での生活も楽しかったのですが、色々と見落としていたこともあったかな、と思うんです。私はできれば、1日のなかでちゃんと日が暮れるのを感じられるような生活がしたいと思いますし、毎日をたっぷり味わいたい。アムステルダムやイタリアと同様に、葉山では「生きている」ことを実感できるのです。

―― イタリアでの生活からも色々と刺激を受けたと聞きましたが、具体的にはどのような影響を受けましたか?

大橋 きっかけは、今から3年ほど前に開催されたミラノエキスポの仕事でした。結果的に2年弱暮らしたイタリアですが、子どもふたりを連れての海外生活は想像以上に大変でした。けれども、イタリア人の国民性や文化などは、私たち親子にとってすごくよい刺激になりましたし、結果的に子どもたちはすごくなじんで、第二の故郷のような存在にもなりました。

 ミラノにも高齢社会の課題はありますが、街のワンブロックごとにBar(バール)があって、おじいちゃん、おばあちゃんがお店を切り盛りしている場面も多いです。お店を訪れる人たちもお年寄りならではのスピードを人と人として、楽しんでいます。

 地域のなかでお年寄りとの距離が近いなと感じます。近隣の色々な世代が顔見知りで、お年寄りだけでなく、老若男女皆が日常的に自然に声を掛け合う関係があって。そこにすごく感動しましたし、羨ましいなと思いました。

―― 確かに、核家族化が進むなかで、生老病死がすっかり遠い世界のものになってしまっていますよね。高度経済成長期くらいまでは、人の生死は家庭のなかに存在していましたよね。

大橋 そうなんです。いつからか人が老いていくということが、なんだかとても遠くて、つらいことのように認識されるようになっていますよね。けれども、イタリアで出会ったお年寄りや、葉山で触れ合うお年寄りはとてもイキイキしていて、本当に豊かな時間を過ごしていると思うんです。私自身、老いることが楽しみになってきました。

「イタリアでは老若男女皆が、日常的に自然に声を掛け合う関係があって。そこにすごく感動しましたし、羨ましいなと思いました」