「自分の歌を唄う」とは?

―― ARIAとはイタリア語で独唱という意味なのですが、石川さんにとって「自分の歌を唄う」とは?

石川 歌は生きていないと意味がないと思うのです。昔の歌も、新たなアレンジを加えることで息を吹き返し、違う届け方や聞こえ方ができたら楽しい。いつだったか、阿久悠さんがこんなことを言ってくれたことがありました。「さゆりね、歌はヒットした時にいちばん輝くんだよね。でも何が面白いかっていうと、さゆりの歌は成長するんだよね。石川さゆりが成長していくとともに、歌が輝きを持っていく。それが書き手としてすごくうれしい」と。

日本の民謡を今の時代の空気に合わせてアレンジしたオリジナルアルバム『民~Tami~』。亀田誠治さんプロデュース、布袋寅泰さんをギターに迎えたソーラン節はステージでもキラーチューン

―― 昭和、平成、令和と歌い続けてきて、今どんなことを感じていますか。

石川 所詮、私たちは時代の風ですから。歌を聞くだけじゃなく、ニュースを見聞きして、世の中の出来事を感じることは大事だと思います。私は計算できるタイプではありませんが、その時代の、その時の空気を感じることや、今の風の中に、世の中の人がどんな音楽や歌を求めているのか、嗅ぎ分けるセンサーは多少あるかもしれません。「どうよ、聞いてよ」と独りよがりになっては誰も耳を傾けてはくれませんから。

―― これから、どんなことに挑戦されたいですか。

石川 新しい、令和という時代の幕開けです。ついつい新しいことに飛びつきたくなる性分なので、新しきことばかりでなく、たとえば、体を整えるとか足固めの年にもしたいと思っています。

取材・文/砂塚美穂 撮影/川上尚見

石川さゆり
歌手
石川さゆり 熊本県生まれ。1973年のデビュー以降、『津軽海峡・冬景色』、『天城越え』などヒット曲多数。NHK「紅白歌合戦」では紅組最多の41回の出場を誇る。「和の心」を基に、尽きせぬ歌への好奇心で常に新たな音楽を紡ぎ出している。近年はジャンルに捉れない、さまざまなアーティストとのコラボレーションが話題に。2019年3月、日本の音楽「民謡」をモチーフにしたオリジナルアルバム『民~Tami~』を発表。2007年12月 文化庁芸術祭大賞、2018年3月、芸術選奨文部科学大臣賞など受賞歴多数。2019年5月、紫綬褒章受章。