令和初の紫綬褒章を受章、2020年大河ドラマでは明智光秀の母役として出演が決定するなど最近、旬なニュースが続いている、石川さゆりさん。歌手として47年のキャリアを持ち、近年は「演歌」というジャンルに捉われない、さまざまなアーティストとのコラボレーションも話題です。なんでも「赤が似合うお年頃(還暦)を過ぎて、ますます忙しくなった」とか。今回は三世代世帯で暮らす毎日について聞きました。

(上)石川さゆり  紫綬褒章受章 演歌に込めた働く女の情念
(下)石川さゆり 「母と私と娘、女三代で同居中」 ←今回はココ

平凡な日常というのは、ある時ふと、幸せを感じること

―― 『天城越え』で新境地を開いた3年後、31歳で離婚。シングルマザーとして歌い続ける道を選びました。母、石川さん、娘の女三世代で一緒に暮らしているそうですが、忙しい石川さんをいつもお母さんはサポートしてくれるのですか。

石川さゆりさん(以下、敬称略) 家族って、サポートするとかそんな大仰なものではなくて。平凡な日常というのはある時、ふと、幸せを感じるとでもいいましょうか。この春に紫綬褒章をいただきまして、私ももちろんうれしいのですが、私以上に母が喜んでくれている姿というのは、ひとしおですね。時々、「お母さんもう勘弁してよ」というくらい、「おなか空いてない?」って聞かれることもあります。いくつになっても親は親ですね。

 それと同時に、私もこの歳になりますと、「親は老いていくのだな」ということも感じます。「おなか空いた」って帰宅して、「えー何にもないのー」とある時まで文句を言っていたのに、いつしか買い物に出かけた時などに気づけば母の好きなものはどれかしらと選んでいる。とにかくおいしいものを冷蔵庫に入れておいて母に食べてもらいたいな、とか毎日楽しく過ごしてもらいたいなと思う自分がいます。

さゆりさんの愛娘、佐保里さんお手製の晩御飯の一コマ。チキンライス、ポトフ、お野菜いっぱいのサラダ、ポテトグラタン。デザートはブラウニー(写真提供/さゆり音楽舎 撮影=石川さゆり)

―― 石川家はごはん重視なのですね。

石川 母が母親の愛は食だと思っているところがありますね。人は食べ物でできています。食べることで健康でいられるし、元気に仕事ができるという考えはわが家に代々、受け継がれています。それは母から娘へだけでなく、いっしょに仕事をするスタッフにもついつい「ごはん食べた?」と聞いてしまいます。

 母は私と弟も通っていた幼稚園の保母さんでした。仕事を持つ女性でしたが、当時のわが家は「石川食堂」と呼ばれるほど、いつも冷蔵庫の中が充実していました。あと一手間加えれば、カレーにでも肉じゃがにでもなる、いわゆる「つくりおき」が常備されていました。それから温かいものは温かく、冷たいものは冷たく食べるというのが石川家のモットー。