結婚や出産を理由に、歌をやめることなど、考えもしなかった

―― 石川さんは結婚、出産後も歌い続けていました。「花の中3トリオ」が結婚と同時に全員引退を選んだのとは対照的です。

石川 歌をやめることなど、考えもしなかった。私は欲張りなので(笑)。

―― 「演歌の石川さゆり」というイメージが定着したのはいつ頃でしたか。

石川 ちょうど『波止場しぐれ』のあたりだから、27歳くらい。子どもを産んで、半年間は開店休業でしたが、そこから復帰して再スタートする時、担当ディレクターが「さゆり、着物を着て歌ってみない?」と勧めてくれたのです。それまでは『津軽海峡・冬景色』もドレスを着て歌っていました。その頃、舞台で歌う先輩たちの着物といえばランドセルみたいなお太鼓をきちっと結んでいる第一正装か、ふくら雀みたいな帯を締めたきらびやかな振り袖が主流でした。自分が着物を着て歌うなら、「この歌の主人公の女はこんな女」とイメージし、その人らしい着物の着方ができたなら、とディレクターに答えたことを覚えています。あの頃、頭の中でイメージしていたのは「すこし愛して、ながく愛して」というウイスキーCMで大原麗子さんが演じていた女性でした。

2019年石川さゆりコンサート初日@アスカル幸手。埼玉を皮切りに、東京、大阪、京都、宮崎、鹿児島と日本全国を横断。移動距離だけでも相当なものだが、さらに昼と夜の2ステージをこなしてしまうタフさには脱帽
石川さん自身がプロデュースした展示会『石川さゆりのつくりかた展』も話題に。(開催中~6月23日まで)(写真提供/さゆり音楽舎 協力/Books Under Hotchkiss)