創業1905年、洗顔石鹸せっけんやボディソープなど化粧品の製造販売を手がけるマックス(大阪府八尾市)の5代目社長、大野範子さん。36歳の時、先代の父親から会社を継ぎ、その後5回のがん治療という闘病生活を乗り越えながら、会社を新たなステージに導いてきました。3回目は、闘病生活の話と、健康への取り組み方について。また、人生100年時代、今後の働き方のビジョンについても聞きました。

(1)「レモン石鹸」100年企業を継いだ社長の決断
(2)がん闘病きっかけに新商品
(3)ステージ4含む5回のがん治療と経営 ←今回はココ

この記事の前に読みたい
100年企業社長の大野範子 がん闘病きっかけに新商品


最初は社員に「子宮筋腫」と話して復帰したが…

―― 5回のがん治療を乗り越えられたとのことですが、初めてがんが見つかったのは、社長に就任された直後だったそうですね。

大野範子さん(以下、敬称略) 就任して半年たった頃でした。30代半ばでしたが、実はその1年ほど前からなんとなく体調が優れず、不正出血もあったのですが、仕事とビジネススクールのWワークでとても忙しくしていたので、ただの生理不順だと思い放置していました。それがある日、会社で大出血してしまって。そのまま病院に行ったら子宮頸(けい)がんという診断で、子宮全摘出手術を受けました。転移はしていなくて、社員に心配もかけたくなかったので子宮筋腫だと話して、2カ月後には復帰しました。

 けれど、退院後の初検診で、摘出した子宮の周りにがんが転移していて、放射線と抗がん剤治療を行いました。そのまた1年後にはステージ4の肺がん、その後も首の骨、再び肺と転移しているのがわかり、計5回の治療を行いました。

最初のがんが見つかったのは社長に就任して半年後。社員に心配をかけたくなかったので子宮筋腫だと話して、2カ月後には復帰した
最初のがんが見つかったのは社長に就任して半年後。社員に心配をかけたくなかったので子宮筋腫だと話して、2カ月後には復帰した