看板商品のレモン石鹸を製造終了した理由

―― 会社のトレードマークでもあったレモン石鹸の製造を終了されたのも、大野さんの決断だったとか。

大野 今だからこそ「レモン石鹸、懐かしい!」と言っていただけますけど、10年前はそうでもなかったというか、売れないし手間はかかるし、丸いのでコロコロ転がるんですよ、作っている時に。工場からは、半分冗談で「いつまで作るんですか?」なんて言われたりしていました(笑)。レモン石鹸のおかげでマックスを認識していただくことも多く、今まで会社を引っ張ってきた看板商品なので感謝はしていますが、時代の変化にそぐわない商品になっていたんですよね。そこで過去にとらわれずに、製造を終了することにしました。

―― レモン石鹸の製造終了の他に、経営にはどのような苦労がありましたか?

大野 それまでマックスを支えていたのはギフトという柱で、お中元やお歳暮など企業間の贈り物に石鹸やボディソープがよく使われていました。でも、時代の流れとともに毎年2割ずつ売り上げが下がり、経営状態も悪化していました。真面目にコツコツやっていれば、大きくはもうからないけど安定した事業だからと言われてきたものが、ライフスタイルの変化からみなさんの必需品ではなくなっている。社会に必要とされるにはどう変化していかなければいけないのか、次の100年を支える事業は何か、答えが見つからなくて悶々(もんもん)としていましたね。