日本の少子化にも男女差別が関係している

―― 国際通貨基金(IMF)からも、日本は「世界で最も高学歴の専業主婦がいる国」と指摘されています。

出口 高学歴で賢い女性は、ジェンダー・ギャップ指数で121位にランクされるような日本の「ゆがみ」がすぐに分かってしまうんですよ。家事も育児も介護も女性に押しつける、こんな男女差別の激しい社会で仕事まで頑張るのはバカバカしい。これなら稼げる男性をつかまえたほうがラクだ、と。社会の構造的なゆがみがそういう考え方を生み出すのです。

 日本の少子化もつまるところ男女差別が原因です。家族愛の正体はオキシトシンというホルモンですが、女性は出産時に、男性は育児を行うことによって分泌されることがわかっています。つまり男性の育児休業を制度化することは、家族を愛する大人の男性の誕生につながるのです。

 20世紀のフランスの社会人類学者クロード・レヴィ=ストロースが指摘したように、「社会構造が人間の意識をつくる」のです。社会を変えるためにリーダーが頑張らないと、人間の意識も変わらず、社会はよくならないのです。

出口治明
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
出口治明 ライフネット生命保険創業者。学校法人立命館副総長・理事。京都大学法学部卒業後、日本生命入社。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て06年に退職、同年ネットライフ企画(現・ライフネット生命)を創業。12年上場。10年間社長・会長を務め、18年1月より現職。『ここにしかない大学 APU学長日記』(日経BP)、『「教える」ということ』(KADOKAWA)、『人類5000年史 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』(ちくま新書)など著書多数

構成/久保田智美(日経xwoman編集部)