明治維新と戦後の高度成長で女性の地位が低くなった

出口 女性の地位が劇的に低く変わったのは明治時代からです。明治維新によってNation State(国民国家)がつくられたとき、政府はNation Stateのコアとして天皇制と家父長制をセットに朱子学で理論武装しました。このとき、朱子学の男尊女卑と「家」の思想が刷り込まれたのです。夫婦同姓もこのときから始まりました。このあたりの経緯は小島毅先生の『天皇と儒教思想』(光文社新書)に詳しく説かれています。

 さらに戦後、製造業の工場モデルで復興を果たそうと考えたときは、肉体的に強く、長時間労働ができる人材が求められました。それには男性のほうが向いていたため、政府は配偶者控除や第3号被保険者というゆがんだ制度を作り、3歳児神話などを吹聴して男は仕事、女は家庭という性別役割分業を促進してきたのです

 今の社会常識と思われている概念は、明治国家によってつくられたものであり、日本古来の考え方ではないのです。こうした歴史的事実を、リーダーや管理者層にはきちんと教えるべきです。

―― この歴史は男性だけでなく、女性にとっても学ぶ必要がある内容ですね。

出口 いまだに、男性だけではなく女性の中にも、子どもを保育園に預けるのはかわいそうだと思っている人がいます。この誤解を解くには、ホモサピエンスの歴史をひもとかなくてはいけません。