「抜てき人事」で女性の背中を押す

――昇進を打診しても「自信がない」と拒む女性が多い……という悩みが、多くの企業人事から聞こえてきます。どんな風に背中を押してあげればいいと思いますか。

及川 ポーラでは、人材育成のため、「抜てき人事」を取り入れています。課長昇格試験を年1回実施していますが、試験合格者を空いたポストに割り振るだけでなく、まだ試験には合格していないけれど適任と思われる社員を選び、課長職に抜てきするんです。課長になってから、2年以内に課長昇格試験に合格してもらいます。

 日々のパフォーマンスや成績を踏まえ、「今、抜てきすれば伸びる!」というタイミングを逃さず、成長を促進することを狙っています。もちろん「失敗してもいい」ということを前提に。

 抜てき対象は男女問わずですが、特に女性の場合、実力があるにもかかわらず、出産・育児といったライフステージとの兼ね合いを気にして課長昇格試験に二の足を踏む人もいる。だから、あえて背中を押しています。

伸びしろ、可能性があるから指名する

――抜てきされた女性の反応はいかがですか。

及川 これまで何人もの女性を抜てきしてきましたが、「待ってました!」という反応は1人だけでしたね。やはり「私で大丈夫でしょうか」「私にできるでしょうか」という不安げな反応が多いです。私自身も、部長・役員への登用を打診されたときは同じことを言いましたから、決まり文句のようなものですね。

 その背景には「女の子の育てられ方」があるように思います。母親って、男の子に対しては、ずぼらでもだらしなくても「ダメねぇ」「しょうがないわねぇ」と笑い飛ばすのに、女の子に対しては「ちゃんとする」ことを求めるし、期待値が高い。だから、女性には「期待を裏切れない」「失敗できない」という意識が刷り込まれているんじゃないでしょうか。「100点で当たり前、ミスすると評価が落ちる」って。

 そんな「減点主義」の発想はやめませんか、と言いたいですね。「完成品」として評価して抜てきしているわけじゃない。だから、抜てきした女性には「伸びしろがあるから指名したんだよ。あなたの可能性に懸けているんだよ」と伝えています。

 女性はもっと自分の可能性を信じたほうがいいと思います。日々勉強もしているし、一人で何役もこなしていたりするし、周囲から見て「できる」と思われたからこそ抜てきされるのですから。

 管理職になれば、自分で手を動かさなくても、メンバーを動かすことで、一人ではできない大きな仕事を成し遂げることもできます。そうして自分の可能性を広げてほしいですね。

 それに、管理職への昇進を断ると、後進の女性たちに声がかからなくなってしまうかもしれません。次世代の女性たちが活躍するための門を閉ざさないためにも、チャレンジしてほしいと思います。