リストに、女性は入っているか?

――及川さん自身は、ジェンダー平等に関して、気をつけていることはありますか。

及川 新しいプロジェクトが立ち上がる際、メンバーリストに女性がいるかどうかは、意識して見るようにしています。

 ジェンダー平等が進んだ当社でさえも、無意識のうちにメンバーが男性に偏っていることがあるんです。商品開発プロジェクトには自然と女性が入ってきますが、例えば「事業変革」など経営・ビジネスに関わるプロジェクトでは、ふと気付くと男性だけで固められていることがある。

 そこで「女性はいないの?」と尋ねると、実は適任者がちゃんといる。ところが、「彼女、育児中で大変だろうから」「不妊治療中なので、負担になるかと思って」と、何の悪気もなく、むしろ思いやりを持ってメンバーリストから外していたりするんですね。

「いやいや、リストには入れようよ」と。そのプロジェクトの遂行能力がある女性ならリストアップすべきであり、実際にやるかどうかは本人に選択してもらえばいいんです。そして、本人が「やります。育児中で時間に制約があるから、そこはサポートしてください」と言いやすくしてあげることが大事なんです。

多様性のあるグループのほうが議論が活性化する

 育児などの制約がある女性をサポートしてでも、男女混合でプロジェクトを進める意義は大いにあります。男性と女性が異なる視点で議論してこそ、多様なストーリーが生まれてきますから。

 私は、ある管理職研修の場でそれを実感しました。当社の女性管理職は3割程度ですので、グループディスカッションを行うと、男性のみのグループができるのですが、男性のみのグループは他よりも早く議論が終わるんです。

 その日、私は各グループのディスカッションの様子を部屋の隅から眺めていました。すると、男女だけでなく、若い社員、ベテラン社員と、多様なメンバー構成のグループのほうが議論が活性化していました。

 結論が9割固まった段階でも、違う視点での意見が出ると、そこから本質的な議論に発展していくことはよくあります。だからこそ、男女はもちろん、多様なメンバーで議論を「かき回す」ことがイノベーティブな発見につながると思っています。

「男性のみのグループは早く議論が終わる。多様なメンバーのいるグループは議論がかき回されてイノベーティブになりやすい」(及川社長)
「男性のみのグループは早く議論が終わる。多様なメンバーのいるグループは議論がかき回されてイノベーティブになりやすい」(及川社長)