還暦でライフネット生命を開業し、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明さん。1万冊以上の本を読破した「知の巨人」であり、ダイバーシティやジェンダー問題についても積極的に発言しています。日本の男女格差がなかなか解消されない理由や、女性活躍推進のために企業がなすべきことなどを、4回シリーズで聞きました。1回目は、企業幹部における女性の割合を一定に決めて登用する「クオータ制」がテーマです。

今の社会では男性が高いげたを履いている

日経xwoman総編集長 羽生祥子(以下、――) 出口さんは、クオータ制の導入に賛成だと伺いました。その理由を聞かせてください。

APU学長 出口治明(以下、敬称略) クオータ制に対する批判として「女性にげたを履かせるのか」という意見があります。しかし今の社会は、男性がものすごく高いげたを履いているんですよ

 社会の構造変化を見ても、女性の重要性は明らかです。世界の産業構造を見ると、先進国ではサービス産業への従事者が労働者人口の7~8割を占めています(※1)。そして、世界のさまざまな国の統計を見ると、サービス産業のユーザーは約7割が女性なんですよ。モノやサービスを消費するのが女性なのに、日本ではそれを生み出す企業や、政治・経済の幹部に女性がいない。これでは社会が大きなミスマッチを起こしてしまいます。

立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明さん
立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明さん

 日本でも、GDP(国内総生産)に占める製造業の割合は20%程度に落ちています。「自分たちが日本の経済を支えている」と自負している50~60代のおじさんに、女性の皆さんの欲しいものが分かるでしょうか。政治・経済のリーダーに女性を持ってこないと社会は進歩しないし、需給のミスマッチが起こったままでは経済は停滞するしかありません。

 クオータ制の根本には、男女平等はもちろんですが、「社会の構造変化に合わせて女性を引き上げてミスマッチを是正していかないと、社会全体が良くならない」という考え方があるのです。

 企業の経営者の中には、「女性の管理職を探しているが、ふさわしい人がいない」と言い訳して逃げる人もいます。そもそも、ふさわしい人などいるはずがない。女性の管理職は、ロールモデルが身近にいないと育たないわけですから。男女差別が厳しい現状の日本では、女性が個人の努力で頑張るには限界があります。要するにクオータ制は、ロールモデルをつくるための、時限立法としてのシステムと考えればいいのです。

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