日本の経営者はもっと勉強すべきだ

出口 20世紀フランスの社会人類学者、クロード・レヴィ=ストロースは「社会構造が人間の意識をつくる」と述べました。まずはシステムから変える。それによって人の意識は変わっていきます。

 クオータ制導入の是非については、既に導入されている欧州のほとんどの国々でうまくいっていることを見てもその効果は明らかですから、議論の余地はないはずです。

 欧州では1970年代からクオータ制が導入されています。平成の約30年間、日本の正社員は年間2000時間くらい働いて(※2)、実質GDP成長率はせいぜい年1%程度。一方、欧州では年間の労働時間が1400時間くらいの国もあり、GDP成長率はEU全体で2018年は約2%、2019年は1.5%でした(※3)。

 クオータ制を導入して短い労働時間で、日本よりも成長しているんです。クオータ制は、人類が生み出した知恵の1つなんです。男女差別がある中で女性のロールモデルをつくり出し、男女の不平等をなくしていくための知恵です。

 日本でも始めているところがありますよ。例えば大阪大学では教員の採用に女性限定枠を設けています。大学教員の応募条件を「女性」とするのはおかしい、逆差別だ、などという人がいますが、それは全体像を見ていないからです。

 大阪大学では西尾章治郎総長が30% Club Japanに加入し「役員会の女性比率を3割にする」と宣言して達成のための行動計画を策定しています。現状は女性教員の割合が20%にとどまっていますが、まずこれを30%に引き上げないことには女性役員比率も高まらないというわけで、「女性限定枠」があるのです。逆差別という批判は的外れです。クオータ制は欧州の経済社会活力を生み出し、うまくいっているというファクトがあるのですから。

―― クオータ制に反対するのは、男女を問わず、経営者や既に役員になっている方が多いイメージですが、反対する心理をどう見ますか?