マイノリティーは自由な発言がしにくい

本セッションの登壇者は女性4人、男性1人。「このような場で変な発言をすると(女性から)バッシングを受けるんだろうなと思ってしまいますね」(日本経済新聞社 編集委員 石塚由紀夫)
本セッションの登壇者は女性4人、男性1人。「このような場で変な発言をすると(女性から)バッシングを受けるんだろうなと思ってしまいますね」(日本経済新聞社 編集委員 石塚由紀夫)

―― 石塚さん、本日の登壇者は5人のうち4人が女性で男性は石塚さんお一人。今日の男性比率は20%ですが、こういう状況では、ご自身がマイノリティーであるという気持ちになりますか?

石塚由紀夫(以下、石塚) 怖いですよね。変な発言をするとバッシングを受けるのではないかと思ってしまいます。

―― でも、今日、画面の向こうにいる視聴者の皆さんの中には、男性社会の中で毎日マイノリティーの気持ちで働いている女性の皆さんがいらっしゃるかもしれません。「30%クラブ」は、そのマイノリティーである女性の割合をもう少し増やそう、という活動なのですね。

松田 同じカテゴリーの人が3割いるとマイノリティーという意識がなくなり、発言しやすくなるそうで、それで30%という目標を掲げているそうです。

 女性の参画は、モラルの問題ではなく、実利の問題です。現在、国連で「Women Peace Security(女性平和安全保障)」という平和構築の分野で、女性を「守る対象」ではなく「意思決定に参画していく主体」だと捉える議論があります。これによれば、女性が参画すると平和構築がより長い期間、継続できることが分かっています。下記はそれを示す資料です。女性が和平プロセスに直接関与すると2年以上続く可能性が、女性が関与していない場合よりも20%増加し、15年以上続く可能性が35%増加しているのです。

1989年から2011年に結ばれた182の和平合意を調査したところ、女性が和平プロセスに直接関与している場合、平和な状態が2年以上続く可能性が20%増加し、15年以上続く可能性が35%増加するという結果が明らかになった
1989年から2011年に結ばれた182の和平合意を調査したところ、女性が和平プロセスに直接関与している場合、平和な状態が2年以上続く可能性が20%増加し、15年以上続く可能性が35%増加するという結果が明らかになった

災害対策では女性の視点も入れる

―― コロナ禍でも、医療や教育の決定プロセスに女性がいると、ソリューションの効果が継続する確率が上がるかもしれませんね。

松田 リスク管理でもそうです。日本は災害が多い国ですが、災害予防や災害後の対応でも、女性の視点をしっかり入れて準備していくことが大事です。withコロナの世界を女性と一緒につくっていくという意識が必要だと思います。今、各企業では、コロナ後にどんな戦略を取っていけばよいかという議論が起きていると思うのですが、まさにそこでも女性の視点を取り入れることが大事でしょう。

―― ESG(環境・社会・ガバナンス)投資というキーワードがありますが、投資家から選ばれる企業になるためにも、企業の活動に女性の視点を入れることが必要だということですよね。

松田 ESG投資が日本で急速に広まってきているのは素晴らしいことだと思います。女性を意思決定にきちんと入れている企業の業績は、入れていない企業よりもよいということで、投資家が、社会的に善いことを行っている企業に投資すると、投資家自身の利益につながるという仕組みです。企業も善いことを行うことで業績が向上する。このプラスがプラスを生む正のスパイラル効果により、社会がどんどんよくなっていく。ESG投資の効果は大きく、まさにこれがSDGsの理念を体現していると感じました。