ジェンダー平等は日本の組織の成長に不可欠であり、多様性のあるチームはイノベーションを起こしやすい。日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムでは、そのような信念で実践しているキーパーソンにインタビューしていく。今回ご紹介するのは、米サンフランシスコに本社を置く、顧客情報管理(CRM)大手セールスフォース・ドットコムの日本法人で会長 兼 社長を務めている小出伸一さん。全3回シリーズの最終回では、社内で女性活躍を推進する方法と、今後の日本がクリアすべき課題について伺っていく。

年2回の経営会議を全社員がライブで見られて、スマホから質問できる

セールスフォース・ドットコム会長 兼 社長の小出伸一さん
セールスフォース・ドットコム会長 兼 社長の小出伸一さん

日経xwoman編集部(以下、――) 小出会長はこれまで何社もの会社で働いた経歴がありますが、イクオリティ(平等)の面では、セールスフォース・ドットコムが一番だと感じますか?

小出伸一さん(以下、敬称略) 一番というか、抜きんでているんですよね。例えば、イクオリティに近いところで言うと、今、実質的にグローバルで経営陣には私も含めてメンバーが20人ぐらいいて、その下に経営幹部が300人ぐらいいます。その300人を集めた経営会議が年2回(春と夏)あり、その会場には360度を写すカメラが入っています。

小出 そして、経営会議の内容を、リアルタイムで、全世界にいる約5万数千人の社員たちがライブで見られるのです。話している内容もすべて分かり、その会場に向けてスマホで質問を打ち込むこともできます

 私も会議中、「小出、今、韓国からこういう質問が来ているけど、どう対応する?」と聞かれたりするのです。つまり、イクオリティをベースに、すべての情報が可視化されているわけです。こうしたシステムが確立されていなければ、イクオリティはやはり掛け声で終わってしまいます。私が当社に入社して今年で6年目ですが、経営会議のウェブライブ配信は、ここ4年ぐらいは実施されています。

―― ジェンダーの取り組みが進んでいる企業に「男女格差」の話をすると、「性別の違いは古いテーマです。今はもう個人の時代です」とひとっ飛びに言われるのですが、実態はと言えば、日本のジェンダーギャップ指数は121位。私たちはやはり男女格差は直視すべきテーマだと考えています。日本企業の経営者にSDGs(持続可能な開発目標)の話をしても、「水をきれいにしましょう」「森を大切にしましょう」「貧困をなくしましょう」という話は積極的に話してもらえるのですが、テーマがジェンダーになると言葉を濁されることも少なくありません。小出さんは、まず、121位の結果について、どう思われますか?

小出 私がジェンダーという論点に問題意識を持ち始めたのは、前職の日本HPや現在のセールスフォース・ドットコムではなく、日本IBM時代に遡ります。IBMの社長室長をやっているとき、女性の登用という側面では、全世界の中で、韓国と日本のブランチが一番成績が悪かったのです。

 米ニューヨーク本社に勤務していたとき、「なぜ日本では女性の活躍や登用が進まないのか?」というテーマを与えられることが多く、30代半ばで帰国した1998年、日本IBMでは、リーダー・ポジションで活躍する女性を増やすことを目標にして、その推進力として社員の代表者からなる「Japan Women's Council」を立ち上げることになりました。