支援活動はトップダウンとボトムアップの両方で

 トップも社員の意見をすくい上げてボランティアを推進していく環境が定着しています。今回のNPO支援も、新型コロナ感染が起きたために自分たちが特別に社会貢献活動をしているという意識は、社員たちにはほとんどないと思います。今までやってきたことの延長に、当然のようにコロナ対策も含まれるという感じでしょう。

2019年6月、同社の和歌山県白浜町にあるオフィスにて。オフィス犬のトーマスとともに、地元の学生を対象に、命の大切さを伝えるボランティア活動を実施
2019年6月、同社の和歌山県白浜町にあるオフィスにて。オフィス犬のトーマスとともに、地元の学生を対象に、命の大切さを伝えるボランティア活動を実施

―― 今回の支援はトップダウンではなく、ボトムアップだったのですか?

小出 両方です。経営層も支援活動を推進すべきだとの考えを持っていますし、社員側も積極的に情報を探して自発的に提案してきます。

 平時における事例でいうと、例えば、我々が会議参加のためにアメリカに行ったときのこと。誰かが「今日、養護施設でペンキ塗りをするから、みんなで一緒に行こう」と提案し、参加者全員で養護施設に行くこともありました。会議場が海岸沿いにあるときには「明朝、全員で5時に起きて砂浜を清掃しよう」となることもあります。セールスフォース・ドットコムでは、そういうボランティア活動が日々行われているのです。

―― ボランティア活動を業務時間内に行わなければいけないという企業はあまり聞きません。ボランティア活動を義務化している理由を教えてください。

小出 理由はシンプルです。当社が創業以来、「社会とともに成長しない限り、永続的な成功は収められない」と考えているからです。もしも株主だけを向いて利益ばかり追い求めて仕事をしたら、最終的には海洋を汚染することになる危険性もあるでしょう。効率を追うだけならば再生可能エネルギーではなく石炭を使えばいいという議論になってしまうと思うのです。

 でもやはり企業は社会とともに成長するからこそ、100年、200年と、継続できる経済活動をして成功を収められる――、このように考えるDNAが当社には創業以来あります。それが揺るがないので、新型コロナウイルスが来ようと何が来ようと軸はぶれないと思います。


※ 次回は、コアバリューの4つ目である「イクオリティ」について詳しく伺います。

小出伸一
セールスフォース・ドットコム会長 兼 社長
小出伸一 1958年、福島県生まれ。大学卒業後、1981年、日本IBMに入社。米国本社戦略部門への出向、社長室長、取締役などを務めたのち、2006年日本テレコム(現在ソフトバンク)に入社し、ソフトバンクテレコム(現ソフトバンク)副社長兼COO(最高執行責任者)に就任。2007年12月、日本ヒューレットパッカード代表取締役社長に就任し、2014年4月、セールスフォース・ドットコム代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)に就任。2018年6月から三菱UFJ銀行・社外取締役、2019年3月から公益財団法人スペシャルオリンピックス日本の理事に就任

構成/小田舞子(日経xwoman編集部) インタビュー写真/稲垣純也