「ずらす対応」は、人とつながるチャンスを逃す

 ダーバーによると、ずらす対応は「会話におけるナルシシズム」の表れであり、人とつながるチャンスをことごとく潰しています。

 ずらす対応は基本的に、自分について話すものです。一方で、受けとめる対応は、多くの場合他者に向けた質問です。

 ただしこの質問は、真摯な好奇心にもとづいたものである必要があります。もっと多くの情報を浮かび上がらせるために質問するもので、自分の意見をそっと押しつけるようなものであってはいけません。

 つまり、
「それってムカつかなかった?」
 のような質問ではなく、
「あなたはどう反応したの?」
 など相手が自由に答えられるような質問です。目的は、話し手の視点を理解することであり、変えさせることではないのです。

 そういう意味では、穴埋め問題のような質問は便利です。
「あなたとロジャーが喧嘩したの、それって……?」
 のように質問することで、まるでバトンを相手に渡すようになり、受けとった話し手は好きな方向に話題を展開できます。

質問する目的は、話し手の視点を理解することであり、変えさせることではないのです
質問する目的は、話し手の視点を理解することであり、変えさせることではないのです

 ここで、「あなたとロジャーが口論になったカフェは、55番街? それとも67番街だっけ?」のように、話し手の思考の流れや感情をそらすような、本筋とは関係のない細かな質問はしないようにしましょう。

 どこにいたか、何時だったか、何を飲んでいたか――こうしたものは、実際に何が起きたか、どう感じたかに比べれば、どうでもいい話です。