年齢を重ねると求められる役割も変わってくる。日経ARIAの読者に聞いた仕事の悩みで多いのは「後進の育成」だ。宝塚ではトップスターとしてメンバーを率いてきた真矢ミキさん。今も、ベテランとして現場を引っ張る存在だ。そんな真矢さんと一緒に、理想の職場、理想のリーダーについて考えてみた。

―― 年齢を重ねると、求められる役割も変わってきます。下の世代の育成を期待される人も。真矢さんも、そうした立場で仕事をする場面が多いと思いますが、後進の育成で意識していることはありますか?

真矢さん(以下、敬称略) 「人を育成する」って、難しいですよね。その人の個性もあるから、「これが正解」とは言い切れない。年齢と経験は重ねてきてるから、「私の経験上はこうだったよ」というアドバイスならできるけれど。

真矢ミキが考える、理想の職場

 私が考える理想の職場は、年齢やスキルに縛られず、それぞれが得意なことで力を発揮できる環境です。たとえ新人でも、本人にやる気と才能があるなら、上に立つ人がどんどん引き上げ、周りもポジティブな雰囲気で受け入れてあげる。もちろん専門的なスキルは、経験者がきちんと継承する必要があるけれど、その人にセンスやポテンシャルがあるなら、どんどんチャレンジさせてあげることが大切かなと。

 逆に、ベテランでも、「ちょっとこの仕事は飽きてきたな」とか「そろそろ新しいチャレンジをしてみたい」と思ったら、行きたいところに手を挙げて自由に行き来できるのがいいですよね。

「理想の職場は、年齢やスキルに縛られず、それぞれが得意なことで力を発揮できる環境。もし、自分が小さな会社の社長だったら、そんな職場環境をつくってみたいです」
「理想の職場は、年齢やスキルに縛られず、それぞれが得意なことで力を発揮できる環境。もし、自分が小さな会社の社長だったら、そんな職場環境をつくってみたいです」

―― 新陳代謝がいいと、職場の空気もよどまずに済みますね。

真矢 立ち位置が固定したままだと閉塞感があるし、マンネリ化してモチベーションも下がってしまいますよね。従来のやりかたにとらわれず、境界線を取り払って思い切ったシャッフルをしてみる。すると、新しい交流が生まれて、思いもよらない化学反応が起こるかもしれません。そう思うと、なんだかワクワクします。

 私がこんなふうに思えるのは、まさに自由な仕事環境を目の当たりにしたからです。