真矢 まさか! 宝塚に入った当初なんて、落ちこぼれで、お先真っ暗でしたよ。子どもの頃からバレエなどの英才教育を受けてきた子たちとそうでない私との差は歴然としていて、初舞台の席順は下から数えたほうが早いくらい。でも、目標とする人ができて、「私もああなりたい」という夢を抱いたことで、ぶれることなくやってこられました。

今一番練習しているのは、「断るスキル」

―― 劣等感を否定するのではなく、大事にするというのは、すてきな考え方ですね。真矢さんが今後、育てたい「人間力」はありますか?

真矢 断るスキルです。それも、スマートに。実は私、断るのがすごく苦手で、お誘いはほとんど受けちゃうんです。もちろんその時間は楽しくて私にとって大切な時間だけれど、問題は、「もうそろそろ……」とお開きを切り出せないこと(笑)。

 宴会のときも、気付けばずるずると朝までコースになることが多くて。でも、タイミングのいいところで、「じゃあまた今度ね!」と爽やかに切り上げるほうが、次に会うのが楽しみになる気がして。だから今、「また会いたくなる別れ方」の練習中。最近は、まだ名残惜しいなと思っても「よし、そろそろね!」と意識的に切り出すようにしているんです。新たな大人のスキルを習得中です(笑)。

取材・文/西尾英子 写真/稲垣純也 スタイリング/佐々木敦子 ヘアメイク/小澤久美子 衣装:PINKO/PINKO JAPAN、アクセサリー:NINA RICCI/エスジェイ ジュエリー