「人に褒められなくても大丈夫」な人になる

―― 年齢を重ねたからこその「成長期」なんですね。感情はすっかりコントロールできるようになったのですか。

真矢 一切くよくよしないかというとそうではなくて。今でも、何かあるとすぐ反省します。そして、手紙を書くんです。例えば、「なんかちょっと誤解されちゃったかもなぁ」とか「失礼してしまったかもな」と思ったときは、やっぱりもんもんと2~3日考えちゃうんですよ、私。考えなくていいことを流すのは得意になったはずなのに、何か引っ掛かり始めると、ダメ。相手のことを思うと夜も眠れないほど、気持ちが落ち着かなくなって。そういうときは、まず、思いのままに下書きするんです。スマホに打ち込んで清書して、「あ~これも違う、あれも違う」って書き直して、便箋1冊使い切っちゃうことも(笑)。推敲して書き上げた手紙を相手に送ります。不器用かもしれないけれど、そうやって自分の感情ととことん向き合ってしまう部分はまだありますね。

昨年、真矢さんが母の日に書いた手紙。「このときは下書きしないまま、想いが募って…気付いたら5枚になっていました」
昨年、真矢さんが母の日に書いた手紙。「このときは下書きしないまま、想いが募って…気付いたら5枚になっていました」

―― 感情を上手に流すときもあれば、感情に丁寧に向き合うときもあるということですね。

真矢 そうですね。それができるようになったのは、弱い自分も強い自分もまるごと全部、自分自身で認めてあげられるようになったからでしょうか。そうするとね、人から褒められたり、評価されたりしなくても、平気になってくるものなんだなと実感しています。仕事が常にあることやお金を稼げることだけが、人間的な価値ではないですもんね。今の私は、試行錯誤しながら人と関わる中で人間的な成長ができることに一番価値を感じるし、それが何よりの喜びでもあるんです。毎日、自分がご機嫌で過ごすために必要なことだと思っています。

取材・文/西尾英子 写真/稲垣純也 スタイリング/佐々木敦子 ヘアメイク/小澤久美子 構成/長野洋子(日経ARIA編集部) 衣装:PINKO/PINKO JAPAN、アクセサリー:NINA RICCI/エスジェイ ジュエリー