真矢 つらい仕事に心が折れそうになったときは、自分を追い込みすぎず、「これ、期間限定のバイトだから!」と自分に言い聞かせて乗り切る(笑)。トライ&エラーを繰り返しながら、自分の中でそれを楽しむくらいの余裕が生まれれば、一つの武器になりますよね。

―― 自分が「切り替え力」を持つことで、人とのコミュニケーションが円滑になって、心もラクになりますね。真矢さんは、昔からそうだったのですか?

真矢 いえいえ、30代の私にはそんな余裕、全然なかったです!

40代になってから「自分を好きになれた」

真矢 30代までの私は、対人関係でもよく失敗して、後悔することもたくさんありました。でもね、40代になってから、「対人関係で、こういう失敗って以前もあったよなぁ」と思う場面がいくつかあって。「これって失敗にきちんと向き合っていないから、また同じような課題がやってくるんだな」と、ふと気づいたんです。そこから、自分で変えてみようかと考えるようになりました。

 それまでは、「自分が正しい」って思っていたけど、よく考えてみたら、それって私の物差しで判断しているだけかもしれない。よし、ちょっと直してみるかと。

―― どんなことから始めたのですか。

真矢 年代や性別にかかわらず、私がすてきだなと思っている人たちに共通することは何だろうと考えたんです。そうしたら、みなさん、感情のコントロールが上手で、他人に振り回されない、トラブル処理がうまい人たちだと気づきました。

 ちょうど、仕事でそういうすてきな方たちと出会う機会があり、観察したり、刺激を受けたりしましたね。そんなお手本になる人を思い浮かべながら、自分の感情を意識するだけで、だんだん感情のコントロールができるようになったんです。すると、自分のことを前より好きになれた。そういう意味では、40~50代に突入してからのほうが、若いときよりも心の成長を感じますね。55歳の今も、「私、まだまだ伸びしろがあるな」って思えるんです。