相手の気持ちに飲まれる前にできること

―― 確かに、相手の気持ちに引っ張られるということは多々ありますね。

真矢 相手に対して怒りを感じているときって、「そういえばこの人は、前もこういうことをやったよな」というように、自分の中で記憶を引っ張り出して怒りを増幅させている部分もあると思うんですよね。同じように、「年上のくせに」とか「男性なのに」とか、「今は~すべき場面でしょ」といった「べき論」やある種のフィルターが掛かってしまって、怒りの火種になっていることもある。そうした思い込みや境界線を一度外して、考えるようにしているんです。

 特に、感情に飲み込まれそうなときほど、意識してやるようにしています。自分の中で、視点の切り替えができるようになると、相手をそこまで嫌いにならずに済むし、感情もコントロールしやすくなって心がラクになります。

―― ほかにも、切り替え術はありますか?

真矢 そうですね。例えば、社内の重苦しい雰囲気や、旧態依然とした意見に息苦しくなったら、「私は、海外生活の長い帰国子女なんだ」とか「私は海外から来たばかりの人だから……」などと自分に言い聞かせて、外国人モードに切り替えてみます。

―― 今度は、外国人モード(笑)

真矢 そう。外国人の視点になると、「日本人なら当たり前よね」という規定概念に捉われる必要がない。言いたいことを言っても、別におかしくない。疑似・異文化コミュニケーションで、空気をぶち破る気持ちになれます。

「現場の空気がなんとなく暗くて重い時は、外国人モードを発動。超ハイテンションな挨拶をしてみます!」
「現場の空気がなんとなく暗くて重い時は、外国人モードを発動。超ハイテンションな挨拶をしてみます!」