人は意外と奥行きがある
―― 年齢を重ねると、これまでの成功パターンに頼って想定可能な範囲で省エネモードになります。そのほうが恥をかかずに済むという意識もあります。
真矢 恥をかきたくないという気持ち、すごくわかります! 私だって、これまでのパターンで行くほうが世の中のためなんじゃないの? と弱気になったこと、何度もありますよ。でも、意外と人って奥行きがある。最近は「自分の未開部分を開けないままで終わるなんてもったいない」と思うようになりました。もちろん、生き方は人それぞれで正解はありませんが、私の場合は、「ぼんやり生きている場合じゃないぞ!」って思っています(笑)。
居心地のいい場所で好きなものばかりに囲まれていると、無意識のうちに自分にストッパーをかけてしまいますよね。朝の情報番組『ビビット』MCのオファーを受けた時も、最初は「嫌です、無理です、怖すぎます!」と拒みました(笑)。でも、勇気を出して「エイッ」と飛び込んでみたら、これがすごく刺激的だった!
自分でも「すごいバンジージャンプをしちゃったな」とよく思います。ただ、改めて今思うのは、「新しいチャレンジに挑んだこの数年間は、私にとってすごく意味のある期間だった」ということ。死ぬ前にそう言い切れる自信があります。中身に関する自信は置いておくとして……。
その理由は、自分の得意分野だけに走らなかったから。ある年齢に達しているのに、未開の地に足を踏み入れるのは、怖いし、勇気が必要です。でも、いざやってみると本当に楽しいし、後悔なんてひとつもありませんね。人生の宝物だなぁと。違った景色が見えるのは、最高の気分です。
―― 人生がますます濃密でパワフルになりますね。
真矢 1年ごとに濃厚になっていくのを感じますね。若い頃は、5年、10年スパンでチャレンジしてきたけれど、50代の今は3年スパンで十分! とにかく1年があっという間だから。
取材・文/西尾英子 写真/稲垣純也 スタイリング/佐々木敦子 ヘアメイク/小澤久美子 構成/長野洋子(日経ARIA編集部) 衣装:PINKO/PINKO JAPAN、アクセサリー:NINA RICCI/エスジェイ ジュエリー