なぜストーカー規制法は適用できないのか

 被害届に添えた、私が受けた大量のメッセージはSNSのため電子メールに当たらず、ストーカー規制法は適用できない(2016年当時)。そのため、脅迫罪で検挙するという。その方が罪も重いと言われ、ありがたいとすら思った。ストーカー規制法と脅迫罪の違いも分かっていなかった。被害届を出したことでさらにさらに逆恨みされやしまいかという恐怖で思考判断能力は落ちまくり、今後の住み家をどうするかで頭は一杯。罪名を比べる余裕などまるでなかった。

 逮捕後、示談をして不起訴処分となったのだが、相手は数カ月で示談を破り、SNSおよび巨大掲示板で嫌がらせを再開してきた。途方に暮れた。一度示談に応じてしまうと警察も好意的には相談に乗ってくれないことも、このとき初めて知った。その後、半年間の孤独な死闘を経て、証拠となるIPアドレスを自費で特定し、カウンセラーの小早川先生を探し出し、相談に乗っていただきつつ、2017年4月に名誉毀損で再逮捕となった。一連のことはすべて自著に詳しく書いたのでご興味ある方はお読みいただきたい。

逮捕後もSNSや巨大掲示板で嫌がらせや誹謗(ひぼう)中傷が繰り返された(写真はイメージ)
逮捕後もSNSや巨大掲示板で嫌がらせや誹謗(ひぼう)中傷が繰り返された(写真はイメージ)

 さてこの17年である。この年の1月からストーカー規制法が改正施行となった。

 2000年に成立してから1回目の改正だ。主な改正点は警告が出しやすくなったことと、例のSNSのメッセージ機能などを使ったものも電子メールの連続送信と同等につきまとい行為とみなされ法適用されるようになったこと。11年の東日本大震災時にはSNSは広く利用されていたのでかなりの後手対応だが、とりあえず改正はしてくださった。

 ところが自分の事件はというと、加害者は、私が嫌がらせの対抗手段に出ることを示唆した書状を相手に出したことにより、施行となる日のわずか2日前にSNSによるメッセージ攻撃をやめていた。なんという間の悪さ。というわけで、これもまたストーカー規制法の適用は検討すらされず、名誉毀損一択で捜査・再逮捕となった。