知っているようで知らない自分の体のこと。女性ホルモンが減少する40代、50代は自分の体の変化にとまどうこともあります。気になる性の悩みや体の変化について、産婦人科医でもあり、性科学者でもある宋美玄さんがフラットに語ります。今回のテーマは「アフターピル」です。

アフターピルの服用は早いほうが効果的

 「アフターピル」をご存じですか? 性交から72時間以内に服用することで妊娠を回避できる緊急避妊薬です。日本では2011年に認可され、医療機関で処方されるようになりました。数年前から「必要な人がもっと早く入手できるように」と市販化が検討されていますが、残念なことにまだ実現の見通しは立っていません。

 アフターピルが市販化されると何がいいのか。一つは服用のタイミングを早められることです。アフターピルは性交後72時間有効とされていますが、早ければ早いほど避妊の成功率が高まります。

 地方で産婦人科が受診しにくい状況もありますし、デートレイプや犯罪など、一刻も早く服用したほうがいい場合もあります。緊急に必要としている女性にとって、薬へのアクセスに時間がかかるのはいい状況ではないですよね。

アフターピルで望まない妊娠を回避(写真はイメージ)
アフターピルで望まない妊娠を回避(写真はイメージ)

月曜日にクリニックを訪れる女性が多い

 実際、「アフターピルを処方してほしい」と婦人科を訪れる患者さんは月曜日が最も多いのですが、中には土日が休診で困っている人もいるのだと思います。私のクリニックでは、アフターピルの処方を希望する場合は予約なしでも診察していますが、月曜はどこも混んでいてほかで予約が取れなくて来たという方もいます。

 「コンドームが破損してしまった」「着用していたけど取れてしまった」「セックスには同意していたけど、相手が避妊具を使用してくれなかった」「性被害にあった」など、さまざまな事情があります。

 また、自費診療なので費用が高くなるのも問題です。

 若い人の中には、安いという理由で避妊率が劣るヤッペ法(中用量ピルを使った避妊法)を選択して、望まない妊娠をしてしまうケースもあります。それ以前に、クリニックを受診することが心理的ハードルになり、あきらめてしまう人もいるでしょう。