知っているようで知らない女性の体のこと。気になる性の悩みや婦人科の病気について、産婦人科医でもあり、性科学者でもある宋美玄さんがフラットに語ります。今回のテーマは「出産経験と病気リスク」です。

子どもがいないと婦人科系の病気になりやすい?

 「出産経験がないと婦人科の病気になりやすいですか?」と聞かれることがあります。

 たしかに子宮内膜症は、生理のたびに腹腔内が血液にさらされるほどリスクが高まり、子宮筋腫の成長もエストロゲンの分泌に影響されるので、理屈上は月経回数が少ないほうがいいということになります。

 そのため、とかく出産経験と結びつけて語られがちですが、現代の日本女性の場合、出産数はだいたい1~2回ですよね。昔に比べ現代女性は月経の回数が驚くほど増えていますから、トータルの月経回数でみると、出産してもしなくてもそこまで影響ありません。

「出産してないから婦人科の病気にかかりやすい?」と不安を感じる人も
「出産してないから婦人科の病気にかかりやすい?」と不安を感じる人も

昔は女性の月経回数が少なかった

 ヒトの歴史から見ると、女性の月経回数がこんなに増えたのは最近のこと。100年ほど前までは10代半ばで初潮を迎え、10代で出産する人も少なくありませんでした。出産人数も3人、4人、多ければ5人、6人と産むこともありました。今よりも母乳で育てる人が多かったでしょうから、妊娠・出産・授乳中は生理がありません。そうなると、閉経するまでの月経回数は現代よりもかなり少ないはずです。