知っているようで知らない自分の体のこと。女性ホルモンが減少する40代、50代は自分の体の変化にとまどうこともあります。今回のテーマは閉経後や更年期の年代に多い「子宮体がん」。どんな病気でどのような症状があり、早期発見するにはどうしたらいいか。産婦人科医でもあり、医学博士でもある宋美玄さんが語ります。

症状がなくても子宮体がん検診を受けたほうがいい?

 子宮がんには子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮体がんは子宮内膜から発生するがんで、40代後半から50代、60代の女性に多い病気です。早期から症状が出ることが多く、最も多い自覚症状は不正出血です。出血は褐色のおりものだけの場合もありますが、子宮体がんにかかった人の90%に不正出血が見られます。ほかには排尿時や性交時の痛み、下腹部の痛みなどが子宮体がんの自覚症状。ひどい生理痛や不正出血がある人は気を付けたほうがいい病気です。

 子宮体がんは早期に発見すれば比較的予後のいいがんだといわれています。では、定期的に検診を受ければよいかというと、必ずしもそうとは言えません。

 2002年の健康増進法により、かつては「子宮がん検診」として、子宮頸(けい)がん検診と合わせて、本人が同意すれば子宮体がん検診も実施されていました。ですが、2008年以降、厚生労働省は子宮体がんの検診を「推奨」から外しています。このため現状、子宮体がん検診を実施するかは自治体によってまちまちです。

 子宮体がんが厚生労働省の推奨する「がん検診」の項目から外れた理由の一つは、子宮体がんの検診が子宮頸がんほど、がんの検出率が良くないことがあります。がんの検診は早期発見して死亡率を減少させるために行うのですが、子宮体がんの検診が、がん死亡率の減少につながっているかどうかははっきり分かっていません。

 そのため、無症状の方が一律に受ける必要性が低いことを医師が説明すべきだと思いますが、疾患の可能性がゼロではない以上、「不要です」とは断言しにくいのです。

症状がない女性は受ける必要性の低い子宮体がん検診。自治体によっては今もがん検診に入っている
症状がない女性は受ける必要性の低い子宮体がん検診。自治体によっては今もがん検診に入っている