知っているようで知らない自分の体のこと。女性ホルモンが減少する40代50代は自分の体の変化にとまどうこともあります。気になる性の悩みや体の変化について、産婦人科医でもあり、性科学者でもある宋美玄さんがフラットに語ります。今回のテーマは「新型出生前診断」です。

新型出生前診断に美容クリニックも参入

 妊婦さんの血液から赤ちゃんのダウン症などを調べる新型出生前診断(NIPT)。2013年ごろから日本でも実施されるようになった比較的新しい遺伝学的検査です。このNIPTについて、厚生労働省の専門委員会で、国が関わって専門家の組織を立ち上げ、施設の認定や運営についての指針をつくるという案が示されました。指針の内容は今後の決定を待つことになりますが、少なくとも議論が進んだのは良いことだと私は受け止めています。

 NIPTはこれまでは日本産科婦人科学会の指針によって、検査を受ける人の条件を定め、検査が実施できる施設を認定していました。結果が陽性だった場合も想定し、産婦人科医だけでなく、小児科医や遺伝に関わる専門医がいることなどを条件としたため、認定施設は設備の整った地域の中核医療機関などに限られています。

NIPTは妊娠10~16週に採血し、遺伝子の染色体異常を調べる検査。結果が陽性だった場合、確定診断のためには羊水検査を受けることになる
NIPTは妊娠10~16週に採血し、遺伝子の染色体異常を調べる検査。結果が陽性だった場合、確定診断のためには羊水検査を受けることになる

 ところがここ数年、日本産科婦人科学会の認定を受けずに検査を行う認定外施設が急増しています。ネットで「新型出生前診断」を検索すると、予約の手続きが簡単なことや、条件なく誰でも受けられること、料金が安いことなどをアピールした認定外施設の広告がたくさん出てきます。認定外施設のほとんどは産婦人科以外の診療科で、美容系クリニックや皮膚科、検査を専門とする医療機関など。遺伝カウンセリングの有無や、羊水検査ができるかどうかなども施設ごとに違いがあります。