知っているようで知らない自分の体のこと。女性ホルモンが減少する40代50代は自分の体の変化にとまどうこともあります。気になる性の悩みや体の変化について、産婦人科医でもあり、性科学者でもある宋美玄さんがフラットに語ります。今回のテーマは「男性育休」です。

産後の女性は女性ホルモンの分泌が激減

 コロナ禍で人との接触が制限され、妊娠や出産に不安を抱える女性が増えているように思います。この機に、ぜひ考えてもらいたいのが男性の育休取得です。

 ここ数年、広がりつつある男性育休ですが、2019年度の男性の育休取得率はまだ7.48%。政府は2025年までに取得者の割合を30%にすることを目指しています。現在、国会では育児介護休業法の改正案が検討され、従業員への制度の周知を義務づけることや、出産から8週間以内の「男性産休」が分割して取得できることなどが盛り込まれる見通しです。

 出産後の女性は身体的に大きなダメージを受けています。体を守ってくれる女性ホルモンの分泌も激減し、産後うつといわれるメンタル不調に陥りやすい状態です。その上、数時間おきに母乳をあげなくてはいけないので、睡眠も不足。コロナ禍で人と気軽に触れ合うこともできない。一緒に育児を担ってくれるパートナーの手が必要なのです。

妊娠中、大量に分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)は産後に激減。その急激な変化でメンタルが不安定になりやすい(写真はイメージ)
妊娠中、大量に分泌されていた女性ホルモン(エストロゲン)は産後に激減。その急激な変化でメンタルが不安定になりやすい(写真はイメージ)

里帰り出産で「育児は女性」と役割が固定しがち

 日本には里帰り出産という文化があります。だから男性は育児に関わらないでも大丈夫だと思われがちですが、コロナ禍で祖父母のサポートが期待できない状況もあります。何より、女性だけが育休を取って里帰りをすることで、育児・家事は女性がメインで担うという役割分担ができてしまうデメリットがあります。

 赤ちゃんが家にいるとは、どういう生活なのか。男性にも知る機会が必要だと思います。もし、里帰り出産を選んだとしても、里帰りから帰ってきたときに、男性には育休を取ってほしいのです。

 男性に育休を取ってもらうためにはどうしたらいいのか。少しでも理解を広めたいと、ある試みをしました。