自分の時間が増え、家族やパートナーとの距離感が変化し始めるARIA世代にとっての「幸せ住まい」について、積水ハウス住生活研究所長の河崎由美子さんが解説する本連載。今回は、「子どもが独立した後、夫婦2人だけで生活する時期」にフォーカスします。

夫婦がほどよい距離感で、思い思いに過ごせる空間づくりを

 積水ハウスは2018年、「幸せを研究する」をコンセプトに「住生活研究所」を開設しました。従来の「安全」「安心」「快適」といったテーマに加え、「健康」「家族のつながり」など「幸福感」を追求するテーマに取り組み、研究を推進しています。

 今回は、「夫婦の生活・住まい」の理想的な在り方に注目してみましょう。まず、日常生活において夫婦がどのように時間を過ごしているか。積水ハウスで実施した「生活日記調査」(2016年)によると、LDK空間で「夫婦一緒にする」ことは、「朝食」「おやつ」「昼食」「休憩」「夕食」「TV鑑賞」など。一方、「炊事」「片付け」「読書」「PC」「日記」については、「夫婦それぞれでする」という実態が見えます。

大人世代夫婦の1日の過ごし方例(出典:生活日記調査、積水ハウス、2016年)
大人世代夫婦の1日の過ごし方例(出典:生活日記調査、積水ハウス、2016年)

 また、多くの夫婦が「夫婦それぞれの時間を大切にしたい」と考えています。

「夫婦それぞれの時間を大切にしたい」と思うかどうか。ほとんどの夫婦が「それぞれの時間を大切にしたい」と考えている。(出典:大人世代調査、積水ハウス、2015年)
「夫婦それぞれの時間を大切にしたい」と思うかどうか。ほとんどの夫婦が「それぞれの時間を大切にしたい」と考えている。(出典:大人世代調査、積水ハウス、2015年)

 そして、家族とのつながり方、あるいは家族以外とのつながり方に対し、こんな声が多く聞こえてきています。

 こうした声も踏まえ、私たちが提案しているのが、新しいリビングのスタイル『ファミリー スイート』です。リビングを「家族の暮らしを包括するフレキシブルな空間」と捉え、LDKの仕切りを設けず、広々としたスペースをとります。

 夫婦が共に過ごす時間、それぞれが思い思いに過ごす時間、仲間や友人を招いて集う時間など、多彩な過ごし方を可能にするのが大空間リビングです。

 夫婦それぞれが「自分の時間」を大切にしたいシーンでも、同じ空間に家族の気配を感じつつ、ほどよい距離感を保てる――そんな心地良さがあります。一例として、70代&50代のご夫婦・Sさんのケースをご紹介しましょう。

Sさんご夫婦のプロフィール
●ご主人:70代、奥様:50代
●ご主人が定年退職後、故郷へUターン。都心部のマンションから住み替え
●「夫婦が最低限の動線で暮らせる落ち着いた仕様」を希望し、「平屋」を選択
●ご主人の趣味はゴルフ、奥様の趣味は家庭菜園、洋裁
●ご主人は寡黙でせっかち、綺麗好きで几帳面なご性格。奥様は社交的でお話し上手。趣味も性格タイプも異なり、年も離れているものの、仲が良い

 ご主人は転勤族であり、これまでずっとマンション暮らし。新しい暮らしをつくるにあたり、積水ハウスが運営する体験型施設『住ムフムラボ』(※)を参考にされました。

※『住ムフムラボ』/「生きるコトを、住むコトに。」をコンセプトに積水ハウスが運営する、住まいに関する様々な展示を体験することができる施設。

住ムフムラボ