収納の悩みは「収納スペースの大きさ」だけでは解決できない

 ここで、「収納」に注目してみましょう。

 夫婦2人の生活になれば、子どものモノは減るものの、趣味の活動に使うモノが増えるケースもあると思います。また、モノの量は少なくても、友人たちを招くなら、Sさんのキッチンのように「目に触れさせたくない」という気持ちもあるでしょう。いつの時期も「収納」は悩みのタネとなります。

 では、住まいを設計する際、収納スペースをなるべく多くとれば解決するのでしょうか。実はそうとも限りません。「14%の壁」というものが存在するのです。

 住まいの延床面積に対する収納面接の割合は、大きくなるに比例して満足度が高まっていきますが、一定レベルに達すると頭打ちとなります。あるレベルに達すると、そこから14%収納スペースが拡大しても満足度は高まらない、という調査結果があるのです。

収納満足度と収納率(延べ床面積に対する収納面積の割合)
収納満足度と収納率(延べ床面積に対する収納面積の割合)

 では、収納を設計する際に重要なポイントをお伝えしましょう。

 まず、「収納」とは、次に物を使うときのために待機させておくこと=「一時預かりの場所」。ただ仕舞うだけでなく、出し入れしやすく、使いやすいことが大切です。生活動線に合わせて収納を作ることをお勧めします。

「収納」の3つの視点
「収納」の3つの視点

 なお、Sさんのお住まいでは、ライフスタイルに合わせて、以下のような収納の工夫をされました。

●大人数の来客にも対応できるよう、大容量のシューズクロークを設置
●リビングの南側ベンチの下、テーブル内部にも収納スペースを設置
●キッチンはこまごまとした生活用品が目に触れない仕様に