大人数のゲストにも対応可能。「居所」が多いピットリビング
ご夫婦が一目ぼれして導入したのが「ピットリビング」。普段の生活から来客時まで使い勝手が良い、この家のメインスペースです。
ピットリビングとは、床面が一段下がっている形状のリビングのこと。段差が「ベンチ」になるほか、造り付けのソファに座る、床に座るなど、「居所」が多いのが特徴。実際、最大20名の来客がこのリビングに一堂に会したこともあるそうです。普段、ご夫婦で過ごしている時間も、したいことや気分によって居場所を変えるなど、その時々で心地良い距離感を保ちながら過ごせそうです。

複数人で調理するなら「セパレートキッチン」が効率◎
そして、もう一つ、『住ムフムラボ』で、ご夫婦が目を留めたのが『セパレートキッチン』。シンクとコンロが別々に配列されているキッチンです。食事はゲストをもてなし、一緒に楽しむための大切な要素。セパレートキッチンには、複数人数での調理作業がしやすいというメリットがあります。
私たちの研究所では、コンロやシンク、作業台のレイアウトを組み換えながら、それぞれの頭や手の動きをモーションキャプチャーで分析。最も効率の良い台のレイアウトが、このような2列のセパレートタイプであるという結果を得ました。つまり、「対面キッチン」のような1列型より、L字や2列のレイアウトの方が、複数人でのキッチン作業に適しているのです。
このキッチンの価値は、効率の良い調理動線だけに限りません。共同作業をすることで家族と、あるいは仲間・友人とつながる喜びや豊かさを感じられると思います。

なお、こちらがSさん邸のキッチンです。レイアウトのほか、「収納」にも注目してみてください。

ご夫婦の希望の一つに「人を招いた際、生活感を感じさせないようにしたい」ということがありました。特にキッチンはリビングからよく見えます。そこで、ごちゃごちゃして見えないよう、収納スペースを多く確保。調理器具や食器などはもちろん、調理家電も専用スペースに格納しています。キッチン奥にはパントリー(食品庫)も設けています。
こうして「見られている」ことを気にしなくて済む分、ゲストとのコミュニケーションを心おきなく楽しめるというわけです。