子育て終了後は、「趣味を楽しむ」ための住まいを考える

 ARIA世代には、子どもの成長や進学に伴って住み替えやリフォームを検討する人も多数。住まいの選択や設計にあたっては、今の家族構成とライフスタイルをベースにしがちですが、河崎さんは10年後、20年後、さらにその先を見据えたもっと自由な住まいづくりを勧めます。

 ポイントの1つは「どのエリアに住むか」。子どもが小さいうちは、育児環境の充実度や通学を考えて居住地域を選ぶ人が多いでしょう。しかし、その後の人生を考えると、「趣味を楽しみやすいか」「親しくお付き合いしたいと思える人たちが住んでいるか」も、重要だといいます。

「私は住まいを選ぶとき、ジムが家の隣にある自然に囲まれた環境を選びました。ランニングを楽しみ、ランニングサークルの仲間たちと出会えたのは、そのおかげでもあると思います。そのほか、旅行を趣味とする人であれば、新幹線停車駅や空港などにアクセスしやすいエリア、映画が好きなら映画館があるエリアなど、趣味の活動がしやすく、趣味が合う人が多く住んでいそうなエリアを選ぶといいと思います」

 では、住まいの「設計」についてはどうでしょうか。水泳仲間の自宅を訪問する機会も多い河崎さんは、住宅のプロならでは、シニア世代の暮らし方を観察しています。そこには、ARIA世代がこれからの暮らし方、住まいづくりを考えるに際してのヒントがあるようです。

「リビングの使い方に、その人の趣味や生活習慣が反映されています。シニアの友人たちは健康志向が強い。だから、例えば大きなテーブルを置くのをやめて、ヨガマットを敷きっぱなしの状態にして、いつでもヨガやストレッチができるようにしているお宅があります。フィットネスの動画を観ながら身体を動かせるようにテレビを配置しているお宅も」

 これらは「スポーツ好き」の住まい方の例ですが、住まいづくりでは、「趣味を楽しめるように設計しては」と、河崎さんは勧めます。例えば、読書が好きならリビングの近くに書庫や書棚を配置できるようにする、いずれ楽器を習ってみたければ演奏スペースを確保しておく、といったようにです。

「お勧めしたいのは、『仕切りのない大空間リビング』。家族がお互いの存在を感じながらも自分の趣味を楽しむなど、自由な時間を過ごせる空間です。積水ハウスでは『ファミリー スイート』というコンセプトで提案しています。なお、趣味を極めていくと、『教えてほしい』と言う人も現れます。自宅で教室やサロンなどを開くにも、大空間リビングはとても使い勝手がいいですよ」